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6月1日に動物愛護管理法が施行されました


野生生物グループの浅川です。

自宅で過ごす時間が増える中、ペットと触れ合ったり、オンラインでペットを見せ合ったりして、楽しむ人も多いのではないでしょうか?

今日は、そんなペットに関するお話しです。

日本には、動物の飼育や販売にかかる法律「動物愛護管理法」があります。イヌやネコ、家畜、実験動物、そしてペット利用される野生動物まで、さまざまな動物がこの法律の下で、管理されています。

そして、この法律は2019年6月に改正され、その内容が今日2020年6月1日から施行されました。

この改正動物愛護管理法には、危険な動物の愛玩目的での飼養禁止や、イヌやネコへのマイクロチップの埋め込みの義務化など、改善された点もありますが、まだまだ課題も残されています。

そのひとつが野生動物の飼育と販売の問題。

日本はペット目的で海外から多くの野生動物を輸入していますが、その中には、絶滅の脅威が高まっている種や、すでに国際取引が規制されているにもかかわらず、密輸される種が少なくありません。

販売されるサルやヘビ。野生動物の場合は、病気を保有している可能性や飼育の難しさ、といった問題もあります。
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販売されるサルやヘビ。野生動物の場合は、病気を保有している可能性や飼育の難しさ、といった問題もあります。
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販売されるサルやヘビ。野生動物の場合は、病気を保有している可能性や飼育の難しさ、といった問題もあります。

しかし、改正法には、私たちが求めてきた、密輸された個体が国内市場へ持ち込まれるのを防ぐ仕組みや、感染症予防の強化といった改善点は盛り込まれず、野生動物の飼育管理基準についても不十分なままです。

鋭い爪や牙、強い顎を持つカワウソ。飼育者が怪我を負う事例も確認されています。
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鋭い爪や牙、強い顎を持つカワウソ。飼育者が怪我を負う事例も確認されています。

多くの人たちが集まるペットフェア
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多くの人たちが集まるペットフェア

動物の愛護と適切な管理を求め、人と動物が共生する社会の実現を目的とする、動物愛護管理法。

動物由来感染症であるコロナウイルスが世界中で猛威を振るう中、こうした法律の改正を進め、ペット取引の課題を解決していくことは、人が動物と共生していく上で、欠かせない取り組みです。

人と野生動物との関わりを見直していく、その一環として、これからもこの問題に取り組んでいきます。

【寄付のお願い】好きだからこそ 違法な取引から野生動物を守りたい

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
浅川 陽子

学士(法学)
大学卒業後は官公庁に勤務。JICAの青年海外協力隊としてインドネシアの国立公園で環境教育とコミュニティ開発に携わった後、2018年にWWFに入局。
ペットプロジェクトでは、規制強化を担当し、2021年からは消費者の意識変容に向けた取り組みにも着手。

動物好きな消費者が、野生動物を絶滅の危機にさらしてしまわないよう、あるべき野生動物との付き合い方、社会のルールとは何か、を日々勉強中。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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