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野生のトラ22頭を確認!ミャンマーからの報告


「世界トラの日」の今日、ミャンマーから嬉しいニュースが届きました。
野生のトラ22頭を確認した、というものです。
これは、森に仕掛けた調査用の自動カメラ(カメラトラップ)で主に確認された個体の数。
わずか22頭、ではありますが、これはいろいろな意味で、大きな価値のある22頭です。

まず、一つには、ミャンマーという国で、このような生物調査が行なわれるようになった結果、明らかになった数字であること。
ミャンマーでは長年、社会的混乱が続いてきたため、野生生物の調査ができませんでした。それが今では、WWFなども参加し、実施できるようになったのです。これは森やトラを守る上で大事な前進です。

もう一つは、この22頭のトラたちが、インドシナトラという絶滅の危機が極めて高いトラの亜種(種に準じた分類。生息域で分けたもの)であること。

このトラはかつてインドシナ半島に広く分布していましたが、過去20年間に、ベトナム、ラオス、カンボジアではほぼ絶滅。ミャンマーの生息数は不明。タイに200頭ほどが残るのみと考えられてきました。そこに、ミャンマーの22頭が加わったことは、大きな嬉しいニュースです。

カメラトラップで撮影されたミャンマーのトラ。トラは一頭一頭、縞の模様が異なるため、このデータを集めて解析すると、カメラで撮影されたトラの個体数が割り出せます。

カメラトラップで撮影されたミャンマーのトラ。トラは一頭一頭、縞の模様が異なるため、このデータを集めて解析すると、カメラで撮影されたトラの個体数が割り出せます。

ミャンマーには今回の22頭以外にも、まだトラが生息している可能性が高いと考えられます。早急な調査と、保全のための施策が必要です。
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ミャンマーには今回の22頭以外にも、まだトラが生息している可能性が高いと考えられます。早急な調査と、保全のための施策が必要です。

しかし、良いことばかりではありません。
開発が遅れていたミャンマーには、トラの生息に適した森がまだ4万9,000平方キロも残っているとされる一方、保護区に指定されている生息域はおそらく10%以下。
しかも近年、天然ゴム農園の開発などが、森を急激に食いつぶしています。
このままでは、ベトナムやカンボジアの二の舞になることは必定。それを防ぐのは今しかありません。

ミャンマーと国境を接したタイの森。タイ側は保護区ですが、ミャンマー側には保護区がありません。新たに保護区を作り、タイの保護区とつなぐ取り組みが必要です。

ミャンマーと国境を接したタイの森。タイ側は保護区ですが、ミャンマー側には保護区がありません。新たに保護区を作り、タイの保護区とつなぐ取り組みが必要です。

同じくカメラトラップで撮影されたマレーバク。夜行性で、夜撮影されることが多い動物です。これも絶滅が心配される野生動物です。

同じくカメラトラップで撮影されたマレーバク。夜行性で、夜撮影されることが多い動物です。これも絶滅が心配される野生動物です。

私たちがタイやミャンマーの仲間たちと取り組んでいる、この森の保全活動を、ぜひ応援していただければと思います。

地球から、森がなくなってしまう前に。

森のない世界では、野生動物も人も、暮らしていくことはできません。私たちと一緒に、できることを、今日からはじめてみませんか?

今日、森林破壊を止めるためにできること

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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