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国の天然記念物であるリュウキュウヤマガメの密輸出事件が発覚


先ほど、沖縄だけに生息する国の天然記念物「リュウキュウヤマガメ」が大量に国外に密輸され、摘発された、というニュースが飛び込んできました。

報道によると、日本からの飛行機に搭乗していた乗客のボストンバックに入っていた、60頭のリュウキュウヤマガメが、香港の空港で見つかったとのことです。

リュウキュウヤマガメは、沖縄でも本島、渡嘉敷島、久米島といった限られた地域にしか生息していない希少なカメです。

1975年に国の天然記念物に指定され、捕獲・取引が禁止されたにもかかわらず、ペットとして海外で販売されている事例が確認されるなど、違法取引が問題になっていました。

そのような状況を受け、2013年からは野生生物の国際取引を規制する「ワシントン条約」でも規制の対象種に指定され、日本政府は輸出を禁じてきました。

それにもかかわらず、今回のような事件が発生したということは、日本国内で違法な採取や取引が行なわれ、さらに空港などでの監視の目を通り抜けて、香港に密輸されてしまったということです。

このように生きたまま密輸される動物は、動いたり鳴いたりしないようにテープで拘束されたり、睡眠薬を飲まされている例が多く、たとえ空港などで保護されても弱って死んでしまうケースが珍しくありません。

こうした野生生物犯罪を防ぐには、空港や税関といった水際の取り組みに加え、航空会社などの運輸業界による積極的な取り組みが重要になります。

私たちもこれまで、税関職員へのトレーニングなどを行なってきたほか、業界による野生生物の違法取引防止の向上を促進する取り組みなども進めています。

事件と犠牲が一つでも減らしてゆけるように、協力の輪を広げていきたいと思います。

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
若尾 慶子

修士(筑波大学大学院・環境科学)
一級小型船舶操縦免許、知的財産管理技能士2級、高圧ガス販売主任者、登録販売者。
医療機器商社、海外青年協力隊を経て2014年入局。
TRAFFICでペット取引される両生類・爬虫類の調査や政策提言を実施。淡水プロジェクトのコミュニケーション、助成金担当を行い、2021年より野生生物グループ及びTRAFFICでペットプロジェクトを担当。
「南西諸島固有の両生類・爬虫類のペット取引(TRAFFIC、2018)」「SDGsと環境教育(学文社、2017)」

子供の頃から生き物に興味があり、大人になってからは動物園でドーセントのボランティアをしていました。生き物に関わる仕事を本業にしたいと医療機器業界からWWFへ転身!ヒトと自然が調和できる世界を本気で目指す賛同者を増やしたいと願う酒&猫好きです。今、もっとも気がかりな動物はオガサワラカワラヒワ。

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