ブラジル・アマゾン調査地からの最新レポート!
2023/09/05
毎年、9月5日はブラジル政府が1850年にアマゾナス州を設立したことを記念して、制定された「Amazon Day(アマゾンの日)」。
そんな記念日にあわせ、
WWFジャパンが支援するアマゾンの調査地から寄せられた最新のジャガー情報をお届けします。
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ブラジル・アマゾンの森でカメラトラップ(調査用自動カメラ)を設置する様子。
ジャガーは世界的にもよく知られた有名な動物にもかかわらず、その個体数密度や生態については不明な点が多くあります。
これはジャガーの行動圏が広大であり、密林の奥深くなど人間が容易に近づけない場所にいることも多く、調査を実施することが非常に困難なためです。
しかしながら、生息地の破壊や開発、家畜を襲ったことによる人間の報復といった脅威により数を減らしているジャガーを守るためには、ジャガーの正確な情報を得て、効果的な保全政策を実施することが大切です。
このため、WWFジャパンの支援のもとジャガー保全プロジェクトに取り組むWWFブラジルでは、ブラジル・アマゾン北部のアマパ州で、カメラトラップを使った個体数動向や生態把握のための調査を実施しています。
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カメラトラップにより撮影されたジャガー。ジャガーは従来夜行性だと考えられていましたが、最近の研究から昼間にも活動し、特に明け方と夕方に最も活発に動き回ることが明らかになっています。
この結果、昨年度は計36か所に設置したカメラトラップで9回ジャガーを撮影することに成功し、少なくとも5個体が同エリアに生息していることが分かりました。
またジャガー以外にも、同じくアメリカ大陸に生息する大型ネコ科動物のピューマや、草食獣のアメリカバク、オオアリクイなどさまざまな動物の姿も捉えられ、生態系に関する貴重なデータも得られました。
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ピューマもジャガー同様にシカなどを捕食しますが、より小型の動物を獲物とすることが知られています。とはいえ、同じような生態を持つ動物が、重複したエリアに存在できるのは、獲物が豊富だからこそ。ジャガーとピューマの共存は、アマゾンの自然の豊かさの証しでもあります。
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アメリカバクは、IUCNのレッドリストにおいてVU(危急種)に指定される絶滅危機種です。
広大なエリアに生息するジャガーの調査は、まだまだ始まったばかり。引き続き、地域住民の協力も得ながら、ジャガーやその生息地に関する調査を続けていきます。
皆さまもぜひ、この取り組みを応援してください!
(野生生物グループ・岡元)