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カーボンボンボンゼロゼーロ!?みんなの声を広島県にー

この記事のポイント
皆さんは、ご自身が暮らす自治体の「温室効果ガス削減目標」をご存じですか? 世界約200か国が地球温暖化対策に取り組むことを約束した「パリ協定」のもと、各国は温室効果ガス削減目標を掲げています。各地域で温暖化の取り組みを進める都道府県などの自治体が高い目標を掲げることは、国もまた高い目標を掲げるうえでの後押しになります。 日本全体の温暖化対策を盛り上げるためには、自治体の削減目標の引き上げこそが重要だと考え、WWFジャパンはこれまで自治体に対して様々なアプローチを行なってきました。 そのひとつである、広島県に向けたプロジェクトをご紹介します。

脱炭素のカギを握る自治体の削減目標

いま、地球の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5度に抑えるために、主な原因である二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出を2030年までに世界全体で43%(2019年度比)減らし、2050年までに実質ゼロにすることが求められています。

これに則して、日本政府は2030年までの削減目標を46%(2013年度比)とし、さらに多くの企業や自治体も独自に削減目標を掲げています。

こうした変化に伴い、日本の温室効果ガスは少しずつ減少傾向にはあります。しかし、1.5度に抑えるという目的のためには、まだまだスピードが足りないのが現状です。企業や自治体を含めて、全員で力を合わせてもっと高い目標を掲げ、取り組みを加速させていかなければ間に合わないのです。

WWFジャパンでは、気候・エネルギーグループを中心にプロジェクトチームを結成し、自治体に向けた取り組みを行なってきました。
2023年に、共同通信社と共同で行なった、「47都道府県の脱炭素化の取り組みに関する実態調査」では、温室効果ガスの削減目標や省エネルギー・再生可能エネルギーの導入目標、それらを実現するための政策・施策において、西日本の自治体で相対的に対策が遅れているという結果が得られました。

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そこで、西日本の取り組みを加速するために、その知名度、発信力の高さから、他自治体の牽引にも繋がることを期待して、広島県に焦点を当てたプロジェクトを企画。まずは県民に状況を知っていただき、広島県に向けて削減目標の引上げを求める声をあげていただくキャンペーン「みんなの声を広島県に!もっと高い脱炭素目標を!~カーボンボンボンゼロゼーロ~」を2024年7月1日から開始しました。

みんなの声を広島県に!もっと高い脱炭素目標を!~カーボンボンボンゼロゼーロ~

キャンペーン特設サイト:
https://www.wwf.or.jp/campaign/zerocarbonhiroshima/

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このキャンペーンでは、ふだん馴染みのない温暖化問題への関心を寄せるため、子どもから大人まで楽しめるオリジナルアニメーションを制作。「花咲か爺さん」のメロディに乗せて、CO2などの炭素排出を2050年までにゼロにしよう!目標をもっともっと引き上げよう!というメッセージを、「カーボンボンボンゼロゼーロ♪」のユニークな歌で発信しました。

実は、広島県が2030年までに掲げている温室効果ガス削減目標は、2013年比で39.4%と、国の46%削減の目標よりも大きく下回っています。(第3次広島県地球温暖化防止地域計画(令和5年3月改訂版)より)

その理由のひとつとして、温室効果ガスを多く排出する石油化学プラントや鉄鋼といった重工業や、自動車製造などの産業が盛んであることが考えられます。

簡単なことではないかもしれませんが、こうした事情・背景があるからこそ、広島県が脱炭素目標を引き上げることによる他の自治体への影響力は大きいと期待を込めました。

キャンペーンサイトには、2025年1月までに1,660件を超える賛同が集まり、県知事や県に向けたフリーコメントは、50件を超えました。

お寄せいただいたコメントの一部をご紹介します。

広島県の目標が低いことを初めて知りました。他県に負けない対策をしたいですね。
私は広島県に住んでいます。日本の、広島の独自の生態系を、たくさんの美しい生命を、失いたくないです。昔はこんな動物がいた、なんて、悲しい話にしたくない。
人だけじゃなく、たくさんの生命が理不尽に脅かされることのない広島であってほしい。
駐車場や学校・工場の屋上に!自然を壊さずにソーラーパネル!
広島県で実施したこと、まだ改善できていないところ、これから実施すること、などをしりたいです!文字ばっかりの難しい資料ではなく、わかりやすい資料で発信を続けてほしい!
脱炭素目標のための取り組みを応援します!私は今22歳なのですが、気候変動によって将来果たして生きられない可能性があるのではという不安が募っています。特に最近の自然災害は、気候変動の原因を作ってきたという責任がある日本にも多くみられるようになっています。広島県が率先して、日本を動かしてください。公約にも具体的で意味のある目標を掲げ、実践してください。
年々平均気温が上がり、ゲリラ豪雨や異常気象が多発しているように感じます。広島が舵を取って日本へ世界へ脱炭素の輪を広げてほしいです。
環境問題に取り組む姿勢は多くの人に良い印象を与えると思います。他県に広島を、湯崎知事をもっと自慢できるようになることを期待してます。
広島は誰もが認める日本を代表する県です。脱炭素でも先進的な県になってほしいです!
広島、大好きです。是非、頑張ってください。
平和都市・広島 環境問題でも先進都市になっていただきたいです!
まずは小さなことからでも、1人でも多くの人が現状を知ることが大切だと思います!行政から広く働きかけを期待します!
この先も広島の地から発信して欲しい事が沢山あります。その時、今の豊かな自然環境、美しい景色も共に伝わってほしい。その為にいま出来る事は地球環境を守る取り組みです‼︎脱カーボン、もっともっと前のめりにやっていきましょう‼︎

※原文をそのまま転記しています。

一部しかご紹介できず残念ですが、広島を想う熱いメッセージをたくさんいただきました。本当にありがとうございました。

お寄せいただいた賛同やメッセージは、WWFジャパンからの要望と共に、2025年2月から行なわれる広島県議会に向けて、「陳情書」としてお届けしました。


<陳情事項> ※2025年1月末 広島県議会提出
・削減目標の引き上げ
2030年50%以上、2035年66%以上(2013年比)
・再エネ導入策の実施
屋根置きPVの新築住宅での義務化、PV・蓄電池の共同購入
・県民の皆さまからの賛同数とフリーコメント

広島県には、ぜひ、皆さまの声を受け止めていただいたうえで、広島県議会で脱炭素に向けた議論が盛り上がるとともに、広島県で目標引き上げと政策強化につながることを期待しています。

WWFジャパンは、これからも、自治体全体の目標引上げと対策が加速するように、様々な情報を発信しプラットフォームを活用していきます。皆さんもぜひ、ご自身の自治体の削減目標を調べてみてください。そして、一緒に声を上げ続けていきましょう。
(本ページ末尾に、これまで地域・自治他向けに発信をしてきた活動紹介ページへのリンクを記載しております。ぜひご覧ください)

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