© Canon / Brutus Östling / WWF-Sweden

【COP26】非国家アクターのハイレベル会合が開催


国連の気候変動会議COP26が開催されている、イギリスのグラスゴーより、気候変動グループの田中です。


国連では、各国政府によるCOPでの交渉とは別に、パリ協定の目標を達成するために、世界全体で非国家アクターの取組み、協働を進める「グローバル気候アクション」という枠組みを設けています。

非国家アクターとは、企業、投資機関、自治体、市民団体、ユースなど政府以外のあらゆるステークホルダーのこと。

11月11日には、この枠組みの下で、非国家アクターをテーマにしたハイレベル会合「よりよい世界へのレース」が本会議場で開催されました。

グローバル気候アクションの枠組みで数々行われてきたCOP26でのイベントを締めくくるハイレベルセッション。
©WWFJapan

グローバル気候アクションの枠組みで数々行われてきたCOP26でのイベントを締めくくるハイレベルセッション。

基調講演を行なったアントニオ・グテーレス国連事務総長は、「すべての国、すべての都市、すべての金融機関が、今すぐ、抜本的に、確実に、確認できる形で、排出の削減とポートフォリオの脱炭素化を始めなければならない」と呼びかけました。

基調講演をされたアントニオ・グテーレス国連事務総長。遠くからでも引き付けられる力強いスピーチ。
©WWFJapan

基調講演をされたアントニオ・グテーレス国連事務総長。遠くからでも引き付けられる力強いスピーチ。

続いて、パネルセッションに登壇したウガンダのユース環境活動家、ヴァネッサ・ナカテさんが「気候変動を止めることができるのは、各国政府や企業などが発表している約束ではなく、行動である」と力強く訴えると、会場には大きく長い拍手が湧き起こりました。

昨年、国連は「Race To Zero」という非国家アクター向けキャンペーンを立ち上げましたが、これには、気温上昇を1.5度に抑える目標を持ち、その実現に向けて行動を起こすことを約束した非国家アクターは、も約7,900までに増加しています。

Race To Zeroキャンペーンをリードする、ハイレベル気候チャンピオンのゴンザロ・ムニョス氏(写真中)とナイジェル・トッピング氏(写真右)。世界の非国家アクターを束ねてきたこれまでの道のりを語っている。
©WWFJapan

Race To Zeroキャンペーンをリードする、ハイレベル気候チャンピオンのゴンザロ・ムニョス氏(写真中)とナイジェル・トッピング氏(写真右)。世界の非国家アクターを束ねてきたこれまでの道のりを語っている。

世界各国で躍動する非国家アクター。今日のイベントはその活動の集大成でもあり新しいスタートのように感じました。

これからは、非国家アクターに、約束を今すぐ行動に変えていくことが求められます。そして、互いに協働し、脱炭素に向かうレースの勢いをいっそう加速していくことが、気温上昇を1.5℃に抑える鍵といえます。



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自然保護室(気候・エネルギー)
田中 健

修士(理学・九州大学)
福岡県庁、経済産業省で廃棄物管理やリサイクルなどの環境保全行政に従事、日本のリサイクル企業の海外ビジネス展開を支援。その後、日本科学未来館にて科学コミュニケーターとして、国内外の科学館、企業、研究機関などと連携し、科学技術や研究者と一般市民をつなぐ様々なプロジェクトを担当。2018年8月から現職。気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative: JCI)等、企業や自治体など非国家アクターの気候変動対策の強化に取り組む。

子どもの頃から、自然や生き物の「なぜ?」を探るのが好きでした。自治体や国で環境保全に10年取り組むも、「もっとたくさんの人に環境問題を伝えたい!」と思い、一念発起。科学館スタッフとして環境・社会・教育など様々な分野のプロジェクトを通じて科学コミュニケーションの経験を積み、WWFへ。これまでの経験をまとめて生かし、地球温暖化という大きな課題にチャレンジ精神で取り組みます。

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