オスとメスの黄金比:森にすむゾウの場合
2018/10/22
日本のみなさんこんにちは!
WWFインドネシアのベノです。
皆さんは見通しのきかない森の中で、野生動物の数を調べるときに、どんな方法があるか、ご存知ですか?
自動撮影カメラやドローンを使用する方法もありますが、私は「糞」を使います。
スマトラ島に生息する絶滅危惧亜種スマトラゾウの個体数調査では、687個の糞を森から集め、そのDNAを分析しました。
その結果、テッソ・ニロ国立公園には、オス1頭に対してメス2頭の割合で、147頭のゾウがいることが推定できています。
野生のゾウが自然繁殖する上で、大切なのがこの比率。
オス1頭に対しメス5頭がベストなバランスです。
この比率であれば、群れが少し小さくても、繁殖し、個体数は回復してゆくと考えられています。
またブキ・バリサン・セラタン国立公園では、ゾウにGPS発信器をつけて追跡し、その行動範囲を観察しています。
というのも、ゾウが国立公園の緩衝地帯にある村に出没しているからです。
森が減少し、食べ物を失ったゾウは、民家の台所の塩やごはんの匂いに引き寄せられてやってきます。
過去3カ月で、スマトラ島南部でゾウとの遭遇により命を落とした村人の数は3人。
ゾウの経路や行動範囲を村の人がうまく把握できれば、こうした事件も防ぐことができます。
一方で心配なのは、メスの群れの行動範囲に、オスの生息が確認されていないこと。
「野生のゾウを保護する」と一言でいっても、その中身としてやらなければならないこと、考えなくてはならないことは、実にたくさんあるのです。
野生のゾウがいない日本からも、ご関心とご支援をお寄せいただけていることは、私たちの大きな励みです。
これからもぜひ注目していてください!(編訳:森林担当 伊藤)
地球から、森がなくなってしまう前に。
森のない世界では、野生動物も人も、暮らしていくことはできません。私たちと一緒に、できることを、今日からはじめてみませんか?