ラムサール条約に国内2か所が新規追加
2018/10/17
2018年10月21日よりアラブ首長国連邦のドバイで「ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)」第13回締約国会議が開催されます。
この会議で日本より新たに、葛西海浜公園(東京都江戸川区)と志津川湾(宮城県南三陸町)が、条約登録湿地となることが決まりました。
ラムサール条約の登録湿地とは、国際的にその自然の価値が認められた湿地のこと。これで日本の登録地は52か所となります。
葛西海浜公園は東京都初の登録地で、造成された2つのなぎさ(人工干潟)を中心とした浅海域です。
大都市に隣接しながら、冬には2万羽ものスズガモが飛来。
戦後の埋め立てで干潟の82%が消失したと言われる東京湾では、渡り鳥にとって貴重な飛来地となっています。
ここには、東京港野鳥公園(大田区)や谷津干潟(千葉県習志野市・ラムサール条約湿地)とともに、生き物との触れ合いの場として、また東京湾の自然をつなぐ保全の中核としての役割が期待されます。
志津川湾は、国内では珍しくコンブ・アラメなどの海藻群落の豊かさが評価され、登録湿地に選ばれました。
黒潮と親潮がぶつかるこの海域には、北方性と南方性両方の海藻類が生育。アマモをはじめ何と188種が記録されています。
またその海藻を食物とする天然記念物のコクガンも毎年100羽以上が飛来しています。
さらには志津川湾の南海域で養殖されるカキは、環境と地域社会に配慮した養殖版「海のエコラベル」であるASC認証を取得。ラムサール条約の大きなテーマである「湿地のワイズユース(賢明な利用)」を実践してきました。
これが世界に認められたことは、産業と自然保護の両立が実現できたことの証。
ASC認証の取得をサポートしてきた私たちとしても、これほど嬉しいことはありません。志津川の海での取り組みが、より広がっていくことを期待しています。(自然保護室 前川)