「スクール・パリ協定2017」勉強会の概要 および資料
2018/04/11
気候変動の国際交渉・国内対策のシリーズ勉強会
WWFジャパンでは、複雑化する温暖化の科学や国際交渉について、日本の視点から今もっとも大切だと思われる論点を整理し、ジャーナリストの皆様と意見交換させていただくシリーズ勉強会を、2008年から開催してきました。2015年末の世紀のパリ協定採択を受けて、2017年も引き続き、パリ協定の実施に向けての国際交渉と国内対策を取り上げていきます。パリ協定が永続的な協定となったことを受けて、スクールの名前もこれから「スクール・パリ協定」と固定化して開催していきます!
これまでの勉強会の概要 および資料
こちらのサイトでは、これまでの勉強会で使用している資料を公開しています。 国際交渉の内容は日に日に更改されていきますので、内容につきましては、常に最新の情報をご確認ください。
- 2009年「スクール・コペンハーゲン」勉強会の概要および資料
- 2010年「スクール・メキシコ」勉強会の概要および資料
- 2011年「スクール・ダーバン」勉強会の概要および資料
- 2012年「スクール・ドーハ」勉強会の概要および資料
- 2013年「スクール・ワルシャワ」勉強会の概要 および資料
- 2014年「スクール・リマ」勉強会の概要 および資料
- 2015年「スクール・パリ」勉強会の概要 および資料
- 2016年「スクール・パリ協定2016」勉強会の概要 および資料
- 2017年「スクール・パリ協定2017」勉強会の概要 および資料
- 2018年「スクール・パリ協定2018」勉強会の概要 および資料
- 2019年「スクール・パリ協定2019」勉強会の概要 および資料
- 2020年「スクール・パリ協定2020」勉強会の概要 および資料
- 2021年「スクール・パリ協定2021」勉強会の概要 および資料
- 2022年「スクール・パリ協定2022」勉強会の概要 および資料
- 2023年「スクール・パリ協定2023」勉強会の概要 および資料
「スクール・パリ協定2017」の勉強会の概要 および資料
- 第1回:パリ協定に提出する2050年に向けた長期低炭素戦略 米独加等の長期戦略を概観して、日本の長期戦略を考える(2017年3月30日)
- 第2回:5月開催パリ協定ルール作りの会合を前に 第46回補助機関会合(ドイツ・ボン)のポイントまとめ(2017年4月28日)
- 第3回:国連気候変動ボン会議報告会~パリ協定のルールづくりの最前線から~(2017年6月12日)
- 第4回:カーボンプライシング制度の動向 海外の排出量取引制度(ETS)のまとめと、日本におけるETS成功例の分析(2017年8月21日)
- 第5回:IPCC(気候変動に関する政府間パネル)「1.5度特別報告書」2018年の発表を前に(2017年9月11日)
- 第6回:COP23を控えたポイントのまとめ(2017年10月26日)
第6回:COP23を控えたポイントのまとめ(2017年10月26日)
今世紀末までに、人為的な温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指すパリ協定。2016年にすでに発効したパリ協定には、10月26日現在197か国中169か国が批准しており、今後の世界経済を動かす脱炭素市場の要となることは間違いありません。今や世界の産業界からの熱い視線を集める、世界共通の脱炭素市場のルールを作る議論が展開されるCOP23は、11月6日から17日まで、フィジーがホスト国となってドイツ・ボンで開催されます。 COP23の正式名称は、国連気候変動枠組条約第23回締約国会合(COP23)/京都議定書第13回締約国会議(CMP13)/パリ協定第1回締約国会合第2セッション(CMA1.2)/第47回補助機関会合/パリ協定特別作業部会第1回会合第4セッション(APA1.4)と、これまでの気候変動に関する交渉の歴史を反映して長くなる一方ですが、この中で最も注目されるのは、ルール作りの中心となっているパリ協定特別作業部会(APA1.4)です。 2018年のCOP24で採択される予定のルールを議論する時間は、あと1年を残すのみ。約60項目に及ぶ膨大な数のルール作りは待ったなしです。すべての国を対象とするパリ協定のルール作りのプロセスには、これまでの国際交渉で難題であった「先進国・途上国の差異化」がそこかしこに顔を出しています。COP23において何が求められているのか、何が決まれば進展といえるのか、ポイントをまとめて解説しました。 また、パリ協定の離脱を宣言したトランプ政権下の新しいアメリカ政府代表団がはじめてお目見えするCOP23では、その交渉姿勢も注目されます。一方で、トランプ政権にかかわらず、パリ協定に沿って温暖化対策を進める、と宣言しているアメリカ州政府や産業界も活発にCOP23で活動を展開する予定です。今や交渉の主要プレイヤーは政府代表団だけではありません。パリ協定成立の大きな立役者となった非国家アクターの動きにも注目です。 今回はこれまでの国際交渉の歴史と肝を説明する「基礎編」も開催しました。
■配布資料
第5回:IPCC(気候変動に関する政府間パネル)「1.5度特別報告書」2018年の発表を前に(2017年9月11日)
パリ協定は、今世紀末の出来るだけ早い時期に産業革命前に比べ気温上昇を、2度を十分に下回る水準に抑えることを長期目標としており、さらに1.5度を下回るように努力することを求めています。2度未満の達成でも今世紀末までに排出を実質ゼロにする必要があることがIPCCの科学によって示されている中、1.5度未満に抑えることは可能なのでしょうか?
パリ協定が採択されたCOP21のCOP決定において、IPCCに対し1.5度に抑えた場合の気候変動の影響や、どのような排出経路をたどれば1.5度が可能となるのか、報告書を出すことが要請されました。2013年から2014年にかけて発表されたIPCCの第5次評価報告書では、2度シナリオからBAUシナリオ(4度シナリオ)まで様々な排出経路の研究成果が掲載されていますが、1.5度を達成するシナリオの数は非常に限られていました。そのため、パリ協定の合意に至る過程で、特に温暖化の影響に脆弱な小島嶼国連合などが中心となり、この1.5度がどうすれば可能となるのか、科学の報告書が強く求められたのです。
「1.5度特別報告書(Special Report on Global Warming 1.5 °C=SR1.5)」と名付けられた報告書は、2018年9月に発表されることになっています。これは、2018年末に開催されるCOP24にてパリ協定の初回の目標についての見直し(促進的対話)が行われることになっているため、その議論の基礎となることを前提に発表されるのです。幾度かのドラフトレビューを経て発表される1.5度特別報告書は、既に今年の7月に第一回目のドラフトが回覧されています。第5回のスクール・パリ協定2017では、IPCC報告書に専門家として貢献しているリモート・センシング技術センター参与の近藤洋輝先生をお招きして、1.5度特別報告書の背景について解説する、事前勉強会を開催しました。報告書の内容そのものについては公式な発表を待つ必要がありますが、ベースとなっている1.5度をめぐる研究の背景や現状についてお話し頂きました。近藤先生は、2017年3月に発表された気象庁の「温暖化予測情報第9巻」の気候問題懇談会の部会長でもあり、温暖化の科学に関する第一人者です。
■配布資料
- 第5回スクール・パリ協定 IPCC「1.5度特別報告書」の背景にある脆弱国の危機感(小西)
- 工業化以来の1.5度昇温に関して: IPCC特別レポートに向けた最新科学的知見と国際交渉上の意義((一般財団法人)リモート・センシング技術センター(RESTEC))
第4回:カーボンプライシング制度の動向 海外の排出量取引制度(ETS)のまとめと、日本におけるETS成功例の分析(2017年8月21日)
「カーボンプライシング(炭素の価格付け)」とは、社会の広範囲にわたる炭素の排出に対して価格を付けることにより、各主体の行動を脱炭素化の方向へ変えながら、イノベーションを誘発する等の効果があると言われる温暖化対策です。2005年に欧州の排出量取引制度(EU-ETS)が開始されて以来、パリ協定の脱炭素化に沿って拡大し、約40か国と20以上の地域がカーボンプライシングを導入しています。2017年後半には、中国全土においても排出量取引制度が導入される予定で、世界の排出量の5分の1から4分の1がカバーされることになります。まだ実効力のある明示的なカーボンプライシングがない日本においても、議論が白熱してきました。
今回の「スクール・パリ協定2017」では、カーボンプライシングの基礎的な説明から、世界に広がる排出量取引制度について、「国際炭素行動パートナーシップ(ICAP)※」のメンバーである東京都環境局の担当者に包括的にご解説いただきました。自治体として日本で初めて排出量取引制度を2010年に開始した東京都において、当初は反対していた企業が、第1期の削減期間中に削減目標を過達成するほど成功を収めていること等、日本における実例を説明しています。さらにカーボンプライシングに反対する議論の背景にある「暗示的カーボンプライシング」等についてもWWFから補足しています。
■配布資料
第3回:国連気候変動ボン会議報告会~パリ協定のルールづくりの最前線から~(2017年6月12日)
資料等、詳細はこちらのCAN-Japanのサイトをご覧ください。
第2回:5月開催パリ協定ルール作りの会合を前に 第46回補助機関会合(ドイツ・ボン)のポイントまとめ(2017年4月28日)
今世紀末までに、人為的な温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指すパリ協定。アメリカのトランプ大統領の動向ばかりが世間をにぎわせていますが、2016年にすでに発効したパリ協定には、現在197か国中143か国もの国が批准しており、今後の世界の温暖化対策のみならず、世界経済の行く末を方向付ける国際協定であることは間違いありません。
そのパリ協定の実効力は、詳細なルールにこそ宿ります。2018年のCOP24で採択されることになっているルール集を議論する時間は、あと1年半を残すのみ。2017年は、5月8日から18日にドイツ・ボンで開催される第46回補助機関会合&パリ協定特別作業部会第1回会合第3セッション(SB46&APA1-3)と、11月に開催されるCOP23の2回です。
約60項目に及ぶ膨大な数があるルール作りは待ったなしです。すべての国を対象とするパリ協定のルール作りのプロセスには、これまでの国際交渉で難題であった「先進国・途上国の差異化」がそこかしこに顔を出しています。
2017年第2回目のスクール・パリ協定では、SB46&APA1-3において、何が求められているのか、何が決まれば進展といえるのか、ポイントをまとめて解説しました。また、これまでの国際交渉の歴史と、どのようなところが引っかかって国際協定の交渉が難航してきたのか、交渉の肝を説明する「基礎編」も開催しました。
■配布資料
- 国連の気候変動に関するこれまでの交渉について(小西)
- 国連気候変動ボン会議の概要(APA1-3・SB46)(山岸)
- 国連気候変動ボン会議のポイント APA1-3およびSB46について(山岸)
- 参考資料
第1回:パリ協定に提出する2050年に向けた長期低炭素戦略 米独加等の長期戦略を概観して、日本の長期戦略を考える(2017年3月30日)
今世紀末までに人為的な温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指すパリ協定の下で、各国は短期的な削減目標の設定と対策実施に加え、長期的に排出をゼロに近づけていく戦略を発表することが求められています。長期的なビジョンを持ち、5 年ごとに国別目標を更新していく形のパリ協定にとって、この2050 年に向けた長期的な削減戦略は非常に重要な意味を持ちます。COP21 パリ決定の第35 条で、2020 年までにこの長期戦略をUNFCCC 事務局へ提出することが決まっている中、2017 年3 月時点で、米独加仏など6 カ国がすでに長期戦略を提出しました。
日本においても、環境省と経産省が別個に審議会での議論を重ね、ともにこの3~4月に長期戦略案を発表していますが、これまでの各省立場の相違を反映し、二つの案はかなり性質が異なります。今後どのようなプロセスで日本としての長期戦略を作っていくかは不明瞭ですが、2016年のG7 ホスト国として、パリ協定に長期戦略をなるべく早く提出することを宣言しているため、日本にも実効性のある長期戦略の早期策定が強く求められています。
2017 年第1 回目のスクール・パリ協定では、パリ協定と長期戦略そもそもの説明から、すでに提出されている各国の長期戦略の概要を、特に電力部門に焦点をあてて見ていきました。その後、これらの国々がどのように長期戦略を策定したのか、その国内プロセスを紹介しながら、日本の今後の課題を展望しました。
さらにWWF ジャパンが2 月に発表したばかりの「脱炭素社会に向けた長期シナリオ2017」を題材に、日本の可能性を探りました。
■配布資料
■参考資料