英国が81%削減の2035年目標を発表
2024/11/13
11月12日、バクーで行なわれている、国連の気候変動会議COP29の会場では、2日間にわたる世界リーダーズ気候行動サミットがスタートしました。この間、およそ100か国の首脳が集い、気候外交を展開します。
開会のあいさつに登壇した国連のグテーレス事務総長は、世界の首脳に向けて、パリ協定がめざす1.5度目標を実現するため、COP29の主要議題に合意するよう強く求めました。
特に気候資金について、「世界が資金を払わなければ、人類がその代償を払うことになる」とし、「資金支援は慈善ではなく、投資であり、気候変動対策は選択肢ではなく、義務だ」と述べ、あらためて新しい気候資金の目標に合意するよう訴えました。
今年の首脳級会合には、日本を含む主要排出国の首脳が参加を見送りました。それでも、自国の気候変動政策を世界に向けて発信するためにバクーに参集した首脳はおよそ100か国に及びます。
そのなかで注目を集めたのは、イギリスのスターマー首相でした。
同国は、国内に唯一残っていた石炭火力発電所を9月末に停止し、G7(主要7か国)で初めて石炭火力を全廃。142年におよぶ石炭火力発電の歴史に幕を閉じ、前回のCOP28で合意した「エネルギーシステムにおける化石燃料からの脱却」に向け大きな前進を世界に示しました。
そして、すべての国が2025年2月までに国連に提出することになっている2035年までの温室効果ガス削減目標を、3か月早いCOP29の首脳級会合で、みずからが世界に向けて発信することを選びました。
その目標は、2035年までに1990年比で少なくとも81%削減するという内容でした。スターマー首相は「英国は世界の気候リーダーになる」と述べ、すべての国に求められていながら、ほとんどの国が実行できていない、1.5度目標に整合した目標をいちはやく世界に向けて発表することで、他国も続くよう求めました。
スターマー首相の力強い演説は、COP29の目的である「野心的な2035年の削減目標提出に向けた機運の醸成」に大きな役割を果たし、これから本格化する交渉を導くことが期待されます。
(参考)
国連グテーレス事務総長のスピーチ
https://www.un.org/sg/en/content/sg/statement/2024-11-12/un-secretary-generals-remarks-world-leaders-climate-action-summit-cop29-delivered
英国スターマー首相のスピーチ
https://www.gov.uk/government/speeches/pm-remarks-at-cop29-12-november-2024