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英国が81%削減の2035年目標を発表


11月12日、バクーで行なわれている、国連の気候変動会議COP29の会場では、2日間にわたる世界リーダーズ気候行動サミットがスタートしました。この間、およそ100か国の首脳が集い、気候外交を展開します。

 開会のあいさつに登壇した国連のグテーレス事務総長は、世界の首脳に向けて、パリ協定がめざす1.5度目標を実現するため、COP29の主要議題に合意するよう強く求めました。

 特に気候資金について、「世界が資金を払わなければ、人類がその代償を払うことになる」とし、「資金支援は慈善ではなく、投資であり、気候変動対策は選択肢ではなく、義務だ」と述べ、あらためて新しい気候資金の目標に合意するよう訴えました。

かつてポルトガルの首相だったグテーレス事務総長は、「一国の首脳として、みなさんには気候変動から国民を守る責務がある」とし、早急な排出削減、適応の実施、新しい気候資金目標の合意を求めました
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かつてポルトガルの首相だったグテーレス事務総長は、「一国の首脳として、みなさんには気候変動から国民を守る責務がある」とし、早急な排出削減、適応の実施、新しい気候資金目標の合意を求めました

 今年の首脳級会合には、日本を含む主要排出国の首脳が参加を見送りました。それでも、自国の気候変動政策を世界に向けて発信するためにバクーに参集した首脳はおよそ100か国に及びます。

 そのなかで注目を集めたのは、イギリスのスターマー首相でした。
 同国は、国内に唯一残っていた石炭火力発電所を9月末に停止し、G7(主要7か国)で初めて石炭火力を全廃。142年におよぶ石炭火力発電の歴史に幕を閉じ、前回のCOP28で合意した「エネルギーシステムにおける化石燃料からの脱却」に向け大きな前進を世界に示しました。

 そして、すべての国が2025年2月までに国連に提出することになっている2035年までの温室効果ガス削減目標を、3か月早いCOP29の首脳級会合で、みずからが世界に向けて発信することを選びました。
 その目標は、2035年までに1990年比で少なくとも81%削減するという内容でした。スターマー首相は「英国は世界の気候リーダーになる」と述べ、すべての国に求められていながら、ほとんどの国が実行できていない、1.5度目標に整合した目標をいちはやく世界に向けて発表することで、他国も続くよう求めました。

 スターマー首相の力強い演説は、COP29の目的である「野心的な2035年の削減目標提出に向けた機運の醸成」に大きな役割を果たし、これから本格化する交渉を導くことが期待されます。

英国のスターマー首相は、1.5度目標に整合した2035年目標の発表する場としてCOP29を選び、みずから世界の気候リーダーとして世界の脱炭素化を先導する役割を担うことを力強く世界に発信しました。
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英国のスターマー首相は、1.5度目標に整合した2035年目標の発表する場としてCOP29を選び、みずから世界の気候リーダーとして世界の脱炭素化を先導する役割を担うことを力強く世界に発信しました。

(参考)
国連グテーレス事務総長のスピーチ
https://www.un.org/sg/en/content/sg/statement/2024-11-12/un-secretary-generals-remarks-world-leaders-climate-action-summit-cop29-delivered

英国スターマー首相のスピーチ
https://www.gov.uk/government/speeches/pm-remarks-at-cop29-12-november-2024

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自然保護室(気候・エネルギー)
田中 健

修士(理学・九州大学)
福岡県庁、経済産業省で廃棄物管理やリサイクルなどの環境保全行政に従事、日本のリサイクル企業の海外ビジネス展開を支援。その後、日本科学未来館にて科学コミュニケーターとして、国内外の科学館、企業、研究機関などと連携し、科学技術や研究者と一般市民をつなぐ様々なプロジェクトを担当。2018年8月から現職。気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative: JCI)等、企業や自治体など非国家アクターの気候変動対策の強化に取り組む。

子どもの頃から、自然や生き物の「なぜ?」を探るのが好きでした。自治体や国で環境保全に10年取り組むも、「もっとたくさんの人に環境問題を伝えたい!」と思い、一念発起。科学館スタッフとして環境・社会・教育など様々な分野のプロジェクトを通じて科学コミュニケーションの経験を積み、WWFへ。これまでの経験をまとめて生かし、地球温暖化という大きな課題にチャレンジ精神で取り組みます。

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