トラと人の間で起きる衝突


WWFインドネシアのサミーです。
最近、インドネシアのスマトラ島では、野生のスマトラトラが人を殺害するニュースが相次いでいます。

例えば今年の1月。
アブラヤシ農園に現れたトラに、逃げ遅れた1人が殺されてしまいました。

助かった2人は、木の上で数時間を耐え忍んだとのこと。

さらに、このトラはその後も村に出没するようになり、先日ついに2人目の犠牲者が出てしまいました。

アブラヤシの実からは「パーム油」が採れます。安くて、さまざまな食品や日用品に使用できる植物油ですが、広大な面積の熱帯林が、アブラヤシ農園へと姿を変えています。

その数400頭に満たないとされるスマトラトラは絶滅危機種ですが、こうした犠牲者が続いたことで、村人たちは農園を所有する企業と、自然資源保全局に抗議しました。

元はトラのすむ森を農園として開発したのですから、トラに罪は無いと思われるかもしれません。

しかし現場には、その農園で暮らしを立てる人たちが数多くいるのです。

現在、このトラを捕獲して安全な森に放つ計画が進められていますが、これで問題が解決するわけではありません。

スマトラトラは広大な縄張りを必要とします。アブラヤシ農園を開拓するための熱帯林の減少は、スマトラトラの生息域の減少に直結してきた問題です。

根本的な問題の解決のためは、森や動物を守りながら、産業や人の暮らしを成り立たせていくことが、欠かせないのです。

そうした取り組みを、日本の皆さんにも応援してもらえる方法があります。

日本のスナック菓子やパンなどに使われるパーム油(植物油)は、そのほとんどが東南アジアの農園で作られているもの。

捕獲に取り組むスタッフ

これを扱う日本の企業が、環境に配慮して生産されたRSPO認証を受けたパーム油を使ってくれれば、森をむやみに破壊したり、人とトラが衝突するような事故も減らせます。

WWFジャパンでは今、野生ネコの王国というキャンペーンを実施していると聞きました。

トラはまさに、この王国の王様というべき動物。

根深い問題ですが、皆さんもご一緒に考えてみていただけたら嬉しいです。(聞き取り、編成:森林担当:伊藤)

RSPO認証を受けた製品にはマークがつきます。見つからない時はぜひ、スーパーやメーカーに問い合わせてみてください。

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