エコツアーという森の守り方 スマトラ島より
2018/03/02
こんにちは! WWFインドネシアでエコツアーのコーディネーターを務めるギアです。
私のフィールドは、スマトラ島のテッソ・ニロ国立公園。
この森は、スマトラトラをはじめ、絶滅が心配される野生生物が命をはぐくむ貴重な場所、生きものの気配がしない日はありません。 しかしここでも、他の地域と同じく大規模な森林破壊が問題になっています。
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自動撮影カメラで撮影されたスマトラトラ。スマトラ島は世界で一番多くの種類のネコ科の野生動物が生息する島です。
主な原因は、地域の外からやってきた人たちによる違法な農園の経営。
植林やパトロール活動なども実施されていますが、万一、もともとこの地元に住む人々までもが違法行為を始めてしまうと、無秩序な森林破壊に歯止めが利かなくなります。
森を守るには、地元の人が森の大切さを理解し、そこで暮らせるような仕組みづくりが欠かせないのです。
そこで2011年に始まったのが、地元の村が主体となるエコツアーの取り組みでした。
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国立公園に流れるテッソ川。「テッソ・ニロ」は、テッソ川とニロ川という2つの川から名前がつけられました。
村には森を「農園になる土地」としか認識していない人もいたので、理解を得ながら進める取り組みは、試行錯誤の繰り返しでした。
せっかくツアーの運営グループができても、すぐ解散してしまい、挫けそうになったこともあります。
でも今では、川下りや野鳥観察などを楽しめるさまざまなプログラムが完成。
昨年も約半年で、世界各地から2,500人ほどの人々が訪れてくれました。
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バードウォッチングのプログラム。この森ではたくさんの魅力的な野鳥も見られます。
ツアーに参加した方の笑顔と、本当に嬉しそうな村の人々を見ると、私も自然と笑顔になります。
今までは任意団体のような形で運営されていた村のグループも、昨年ついに法人化されました。
日本のサポーターの皆さんが関心を持って見守ってくださることも大きな力です。
森や生きものたちと共に、村の暮らしも守り支えるエコツアーの取り組み。 ぜひこれからも応援してください。(聞き取り、編成:森林担当:伊藤)
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仲間とともに!これからも励んでゆきます。