ジャッカルを追いつめるギリシャの山火事
2021/09/23
キンイロジャッカルをご存知でしょうか。
ヨーロッパから東南アジアにかけて広く分布する、野生のイヌ科の動物で、森林や草原、マングローブなどに生息し、農村や都市の周辺でも見ることができます。
また雑食で何でも食べ、環境への高い適応力を持ち、絶滅の危険も今のところ無し。むしろ生息域を拡げているとの指摘もあります。
しかし、最近このキンイロジャッカルについて、気になる情報を耳にしました。
地中海沿岸のギリシャで発生し、大規模な被害をもたらしている森林火災が、キンイロジャッカルの生息域にも及んでいるらしいのです。
世界的には絶滅の危険が無いとしても、地域や国ごとに見れば、その状況は変わってきます。
実際、ギリシャはバルカン半島におけるキンイロジャッカルの重要な生息域でしたが、1980年代以降、個体数が減少。
WWFギリシャではその調査や保護活動を行なってきましたが、生息地での森林火災のような大災害が起きれば、そうした取り組みの成果や努力も、無駄になってしまうおそれがあります。
たとえ、世界全体では数が多く、絶滅のおそれが無いとしても、地域によってはその生物が絶滅してしまうケースは少なくありません。
それはまぎれもなく、地球上の生物多様性が失われている事実を示すものであり、これが続けば、自然は取り返しのつかないダメージを受けることになります。
ギリシャから、キンイロジャッカルが姿を消してしまうようなことの無いように。
日本からも森林火災に対する取り組みに、可能な限りの支援をしていきたいと思います。
現在、ギリシャとトルコの火災に対する緊急支援を募っておりますので、皆さまもぜひ、この取り組みを応援していただければと思います。