© Mauri Rautkari WWF

相次ぐ船舶事故、スリランカ沖で再び発生!


先月、インド洋のモーリシャスで起きた船舶事故による油の流出による汚染に続き、スリランカ沖で再び、同様の事故が生じたとの報道がありました。

その内容によれば、今回事故を起こした船は、インドの石油公社がチャーターしたタンカー「ニュー・ダイヤモンド号」で、流出したのは燃料用のディーゼル油。流出した量は明らかにされていません。

モーリシャスでの事故で流出したのが重油であったのに対し、今回流出したのはディーゼル油。重油ほどの粘度や残留性はないかもしれませんが、それでも量が多ければ、海の環境への影響が懸念されます。

しかし、何よりも心配なのは、燃料用の油ではなく、「ニュー・ダイヤモンド号」は「原油」も積載していることです。
しかも、「ニュー・ダイヤモンド号」は全長300メートルを超える大型タンカー。

今のところは認められていませんが、原油のような未精製の油が流出した場合は、被害はディーゼル油の比ではなくなります。

すでに、モルジブ政府は懸念を表明されているとのことですが、こうした島々を含めた、インド洋の海洋生態系が危機にさらされる可能性は、まだあるといわねばなりません。

スリランカの海や森に生息するいきものたち
© Richard Barrett WWF-UK / Diane Lamboley / Christina Mullin / naturepl.com Franco Banfi WWF

スリランカの海や森に生息するいきものたち

すでにスリランカ海軍などによる対応が急がれているとのことですが、大事なのは、流出をまずは抑えること、そして流出が生じた場合は、沿岸に漂着する前に何とか封じ込め被害が拡散しないよう、可能な限りの対応をとることです。

こうした船舶事故は、あまり報道されないだけで、実は数多く世界各地で起きています。
貴重な環境に影響が広がることが無いかどうか、私たちも引き続き注視していきたいと思います。

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

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