株式会社マルホン 福岡ショールーム

目に見えない認証フル活用! マルホンのショールーム


「目に見えるものに価値を置く社会と、目に見えないものに価値を置くことができる社会の違いをぼくは思った。そしてたまらなく後者の思想に魅かれるのだった」

イヌイットが持つ自然感を語った、この星野道夫さんの言葉の意味と少し異なりますが、九州初となる「FSC®プロジェクト全体認証」を取得したショールームを手掛けた株式会社マルホンに話を伺った際にこの言葉を思い出しました。

木材の輸入、企画、製造、販売を手掛ける株式会社マルホンが福岡市に建設したMARUHON FUKUOKAは国内で13例目(2020年10月現在)となるFSC®プロジェクト全体認証。
©株式会社マルホン

木材の輸入、企画、製造、販売を手掛ける株式会社マルホンが福岡市に建設したMARUHON FUKUOKAは国内で13例目(2020年10月現在)となるFSC®プロジェクト全体認証。

FSCは木材や紙などの林産物が、自然や周辺に暮らす人々の生活にきちんと配慮しながらつくられたことを示すエコラベルの一つ。
その「プロジェクト全体認証」というのは、建物などの建設を1つのプロジェクトとみなし、その全体を認証するものです。

ティッシュや紙袋などでFSCマークを見た方はいらっしゃるのではないでしょうか?
©WWFジャパン

ティッシュや紙袋などでFSCマークを見た方はいらっしゃるのではないでしょうか?

完成までの苦労は大きかったようです。
建物全体の認証ということは、使う一つ一つの木材も認証されたもの(或いはそれ相当の材)でなければなりません。

国内でそうした認証材を探し出すには、現場まで足を運び入念に確認する必要もあるため、予定より半年も長い工期を要したそうです。

外壁や構造材は本社のある地元静岡県浜松市の天竜杉を使用。
©株式会社マルホン

外壁や構造材は本社のある地元静岡県浜松市の天竜杉を使用。

その苦労の末に見つけてきた材は、床や階段はもちろん、天井や壁の裏など普段は目にふれない所にも使われています。

しかも、FSC認証の国内認知度は2割と低く、ショールームに訪れるお客様が必ずしもFSCを知っているわけではないそうです。

国際認証ラベルに関する調査 FSC®ジャパン版報告書2020、P6
FSC®ジャパン版報告書2020、P6

国際認証ラベルに関する調査 FSC®ジャパン版報告書2020、P6

なぜわざわざ大変な道を選んでFSC認証を取得されたのでしょうか。そこには「FSC認証商品を売る立場として、自分達が使う建物も認証を得ていなくては」という社会的責任が動機としてあったそうです。

たとえ目に見えなくても、自然や人々に配慮した材にこだわる姿勢に、とても共感しました。

皆さんから見えないところにも、こうした配慮や認証材があるということをぜひ知って頂き、身近な木材に関心を持つきっかけになればと思います。

FSC 商標ライセンス番号:FSC-P001795(2019年)
©株式会社マルホン

FSC 商標ライセンス番号:FSC-P001795(2019年)

森林グループ・天野

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自然保護室(森林)
天野 陽介

獣医になる夢やぶれ、ニュージーランドのマッセー大学で動物学と生態学を専攻。その後、毒蛇調査の 研究助手としてタイの保護区へ。そこで密猟などの違法現場に何度も直面。単に動物学だけでなく、人間社会を理解する必要があると感じ、コスタリカの平和大学で天然資源と平和学の修士号を取得。その後、国連大学でSATOYAMAイニシアティブのプロジェクトに携わり、日本の里山のように世界にも存在する人と自然のバランスがとれた貴重な場所の保全、研究、普及を担当。2019年7月からWWFジャパンの森林グループでオーストラリアとボルネオ島インドネシア領を担当する。

カエルが好きなのに、捕食者であるヘビをタイの保護区で研究していたとき、銃声が。 保護区になるまでこの地に住んでいた老人が密猟者となる負の連鎖を目の当たりにし、自然を守るには人間社会を理解する必要があると痛感。自然と共生していくためには!そして娘に嫌われない父になるためには!が人生のテーマ。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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