持続可能な旬の「うな重」を食べてみたい
2019/10/31
日本人の大好物のウナギ。
ニホンウナギが2014年に絶滅危惧種に指定されてはや5年。未だに資源回復の兆しは見えていません。
ところでウナギが減少してしまった原因、みなさまご存知でしょうか。
はじめに思い浮かぶのは「獲りすぎ・食べすぎ」だと思いますが、「生息環境の悪化」も主な原因の一つとしてあげられます。
ニホンウナギはマリアナ海溝で孵化後、海流に乗って日本にやってきます。生息する環境は、河川だけでなく、それに続く水路、池、沼、田んぼなど多種多様。
しかし、ダムや河口堰などの建設により、こうした環境の移動が困難になったことに加え、河川や田んぼの水路のコンクリート化によって、獲物となる生物が減少したことが、ウナギの減少につながっていると考えられているのです。
逆に考えれば、ウナギのすみかであり、採食場でもある田んぼや水路の自然や生きものを保全することは、ウナギ資源の保全と、その持続可能な利用にもつながる、ということ。
つまり、「生き物に優しい田んぼ」を維持することは、「うな重」のウナギとお米、その両方にかかわる取り組みでもあるのです。
ウナギはとかく夏場の「土用の丑の日」によく食される魚ですが、実はその旬は、水温の下がる10月以降。
お米の収穫も終わったこの時期のウナギは、冬眠に備えて脂がのっているので美味とされます。
資源はもちろん、生物多様性にも配慮した田んぼの恵みである「持続可能」な新米とウナギで、旬の「うな重」が食べられる日を目指し、水田の貴重な自然と、水産資源の保全を実現する活動を、私たちは続けていきます。(植松周平)