東南アジアと日本の水田と生物多様性
2019/11/19
私たちWWFジャパンでは今、日本の水田・水路の生きものたちを保全するプロジェクトへのご支援を募っています。
水田の自然は、いかにも日本らしい景観ですが、自分が森の保全を担当している東南アジアの国々でも、移動の道中などに目にすることがよくあります。
例えば、インドネシアのスマトラ島南部の山岳地帯には、一見すると日本と似ているのですが、よく見ると違う水田の風景が広がっていました。
見渡す限りの水田の中に「水路」が見当たらないのです。
これは、おそらく天水田(雨水だけで営む水田)なので、水路が必要ないのだと思います。
また、ミャンマー東部のタニンダーリ地方では、かつての日本のような「用水路」と「排水路」が一体となった水田を見ることができました。
こうした場所では、河川の堤防も十分整備されていないため、雨季に頻繁に起きる洪水が、時に人的被害をもたらすことがある一方、周辺の水田に養分を供給すると同時に、魚など水生生物の移動を助け、多様な生態環境を育んでいます。
季節ごとに変化する地形をうまく使い分けながら、したたかに生き抜く生きものたちを想像すると、実際に水中でどんな様子なのかを調べてみたくなります。
そうした水田の生きものたちの謎と魅力は、日本の場合も同じ。
今、WWFジャパンが取り組んでいる、特に希少な魚類が多く残っている九州の水田地帯でも、まだ分からないことの多いその生態系を調査し、どうすればそれが保全できるのか、挑戦を続けています。
少なくなり続けている水田と水路にまたがる貴重な自然を、未来にのこしていくために、活動へのご支援をぜひお願い致します。