©Tsubasa Iwabuchi

ミジンコの目はいくつ?


森林グループの岩渕です。
環境保全に身を置く以前は、ミジンコを使って物質循環の研究をしていました。
ミジンコについて誰かに話すとき、よく聞く質問があります。
それは、「ミジンコの目はいくつあるか?」というものです。

日本で見られるミジンコの例。オオミジンコは野生では生息せず、実験動物として研究所などで飼育されている。よく見ると眼つきもさまざま。
©Tsubasa Iwabuchi

日本で見られるミジンコの例。オオミジンコは野生では生息せず、実験動物として研究所などで飼育されている。よく見ると眼つきもさまざま。

答えは、1つです。
魚のように両側に1つずつあるようにも見えますが、中心に1つあるだけで、体が透明なので両側から見えるのです。
※厳密にはこれは複眼で、明るさだけを感じる単眼も持っているので、2つとも言えますね!

ミジンコを正面から見た画像。目は中心に1つだけ。
©Dieter Ebert, distributed under a CC BY-SA 4.0 license

ミジンコを正面から見た画像。目は中心に1つだけ。

ミジンコは漢字で「微塵子」と書きます。
漢字の通りとても小さくて、取るに足らないような生きものに思えるかもしれません。
しかし実際は、魚をはじめさまざまな生きものの食物でもあり、田んぼや湖などの淡水生態系を支える縁の下の力持ちなのです。
メダカもミジンコは大好物で、水槽にミジンコを入れると、ものすごい勢いで食いつきます。

水田など日本の身近な自然を代表する生きもののミナミメダカ。いわゆるメダカと呼ばれる魚でミジンコの天敵!です。自然豊かな水田や水路の減少によって、絶滅が心配されています。

水田など日本の身近な自然を代表する生きもののミナミメダカ。いわゆるメダカと呼ばれる魚でミジンコの天敵!です。自然豊かな水田や水路の減少によって、絶滅が心配されています。

その一方で、ミジンコは水質に敏感な生きものでもあり、農薬が不適切に使われれば、すぐさま姿を消してしまうのです。
そうなれば、ミジンコを食物とする魚類や生態系全体にまで影響が及ぶかもしれません。

よく見るとチャーミング(?)で、意外にファンも多いミジンコ。
たまには小さいものにも目を向けて、ミジンコを探してみるのはいかがでしょうか。

田んぼによくいる種でも3mmに達するので、肉眼でも見ることができます。
風で水と一緒に押し流され、風下側に大群となっていることがよくあります。
水を張っている田んぼなら、この時期でもまだ見られるかもしれません。

そんなミジンコも含めて、田んぼとそこに暮らす生きものを守るWWFの活動を、ぜひ応援してください。
ミジンコの小さな目から見ても、すみやすい田んぼが増えるように。

【寄付のお願い】失われる命の色 田んぼの魚たちと自然を守るために、ぜひご支援ください!

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自然保護室(森林)
岩渕 翼

博士(生命科学・東北大学)
カリフォルニア州立大学卒業。学位取得後、大学のポスドクや助教として生物と環境の相互作用や、生物多様性の保全や評価手法の開発、企業緑地の生物多様性配慮等に関する研究を行う。研究の傍ら、栃木県環境審議会専門委員として行政支援を行うほか、東日本大震災後には人と自然の復興を目指すグリーン復興の活動に関わる。その後、環境保全NGOに勤務し森林や湿地の保全プロジェクトを担当。WWFジャパンでは東南アジアを中心に、森林や野生生物の科学的なモニタリングから天然ゴムなどの森林コモディティの持続可能な生産の推進など、多角的な活動を展開。

小学生の頃にファーブル昆虫記を読んで感激し、その頃から将来は生き物に関わる仕事をすると心に決めていました。さらに中学生の頃に「沈黙の春」を読み衝撃を受け、環境保全を意識するようになりました。そのあと生態系の仕組みを調べる研究者になり、科学に基づいた保全を追求するために保全の現場に関わるようになりました。森林保全プロジェクトと同時に子育てプロジェクトも進行中。

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生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
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