COP25現地発信:日本が化石賞を受賞しました
2019/12/04
12月3日、日本がCOP25期間中では初となる化石賞を受賞しました。
化石賞は、地球温暖化問題に取り組む世界120か国の1300を超えるNGOのネットーワークであるCANインターナショナルが、温暖化対策に消極的な国に与える不名誉な賞。毎日夕方に行われる授賞式は多くのCOP参加者が詰めかける一大イベントで、その様子は国内外のメディアを通して世界に発信され、SNSでも拡散されます。
日本の受賞理由は、梶山経済産業大臣が記者会見で「石炭火力発電など化石燃料の発電所は選択肢として残していきたい」と発言したこと。この発言が、国内外のメディア報道されるやいなや、世界の市民社会はCOP25の交渉を後退させる言動であるとして、即座に反応したのでした。
「気候危機」、あるいは「気候非常事態」と言われるほどに深刻化した地球温暖化を回避し、産業革命からの平均気温の上昇を1.5度未満に抑えるためには、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする必要があります。COP25はいかにそのスピードを加速させるかを話し合う会議です。
COP25の開幕を前に、国連環境計画(UNEP)は各国の対策の不足が極めて大きいことを示し、その不足を埋めるために、大量の温室効果ガスを排出する石炭火力発電所の建設の中止を求める報告書を発表しました。また、前日に行われた開会式でグテーレス国連事務総長も、各国の削減目標を引き上げるために、石炭「中毒」からの脱却を求めたばかりでした。その翌日に、世界第5位の排出国の閣僚が石炭火力発電を維持すると発言したことで、日本から遠く離れたマドリードの会場に失望と落胆をもたらしました。
9月に開催された国連気候行動サミットで65の国々が2050年までの排出ゼロを宣言したように、世界はいまや脱炭素化のスピードを競っています。そのために欠かせない政策のひとつが石炭火力発電の廃止。多くの国は困難に立ち向かいながら、脱石炭に向け懸命な努力をしているのです。
実は日本は「パリ協定」の資金援助の基金に多額の資金を提供している国(累積拠出額世界第2位)で、本来は評価されることもしているのに、石炭にここまで固執することによって、石炭国としてのマイナスイメージばかりが先行しています。これは日本にとっては得策ではありません。
世界中から注がれる石炭批判に対して、COP25の2週目に日本がどう応えるかに、注目が集まっています。
(自然保護室・小西)