遠いようで近い?ペルーのウミガメ混獲
2019/09/26
世界遺産マチュ・ピチュで有名な、南米ペルー。壮大な古代インカ帝国の遺跡もさることながら、ここには多様な生きものが息づく豊かな自然環境が残っています。
海も例外ではありません。
ペルーの海には、鯨類や水鳥など多様な生きものが息づいています。特にウミガメは、全7種のうち、アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイ、ヒメウミガメ、オサガメの5種が生息しています。
また、ペルーの海は豊かな漁場でもあり、漁業が重要な産業となっています。
しかし、魚を獲る際に、誤って漁網に絡まってしまう「混獲」により、多くの野生生物が命を落としてしています。
そして、ペルーの漁業の中で最大の漁獲量を誇るアンチョビ漁でも、ウミガメをはじめとする混獲が問題となっています。
私たち日本人とは関係ない遠い国の話、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、アンチョビ漁で起きている混獲は、日本とも深くつながっています。
なぜなら、ペルーで獲られたアンチョビの多くが、日本で行なわれている養殖業のえさの原料として使われているからです。
また、日本が輸入しているサケ(サーモン)も、全体の約4割を南米チリから輸入していますが、このサケを育てるためのえさにも、ペルー産のアンチョビが使われています。
遥か彼方に感じる南米ペルーで起きている混獲ですが、「食」を通じて考えてみると、実は遠いようで近い問題なのです。
現地のWWFの仲間たちは、漁網に絡まったウミガメを安全に逃がす方法のトレーニングを漁業者に行なうなど、被害を減らす取り組みを進めています。
私たち日本のWWFも、ウミガメを守るためこうした現地の取り組みへの支援を続けていきます。(海洋水産グループ:吉田)