めざせ!「アジア型・海洋保護区」


自然保護室の安村です。
先週、9月27日から30日にかけて、韓国でIUCN(国際自然保護連合)のアジア地域保全フォーラムが開催され、そのサイドイベントで、私たちが中国、韓国の関係機関と協力して進めている「黄海エコリージョン支援プロジェクト」を紹介してきました。

サイドイベントは、持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)や生物多様性条約の締約国会議で決議された「海洋保護区(MPA)のネットワークを2012年までに構築しよう」という数値目標を、どのようにして達成するかを視野に企画されたものです。

海洋保護区、といっても、言葉の持つ意味は多様です。
たとえば、欧米諸国でのそれは、人の生活圏とは別の地域を規定し、漁獲や入域を厳しく制限した例が少なくありません。

一方、アジアの海は、古くから人の生活と密着し、場所によっては持続可能な海洋資源の利用がなされてきました。

今回のイベントでは、こうした海での利用・保全・管理の取り組み、「アジア型・海洋保護区」の可能性について、韓国、タイ、フィリピンの事例を紹介しあいました。

blog02.jpg

中国と朝鮮半島に囲まれた黄海は数多くの野生生物が息づく豊かな海洋環境です

blog03.jpg

黄海エコリージョン支援プロジェクトからは、科学的情報に基づき選定した優先保全地域マップづくりの取り組み、韓国内の優先保全地域であるムアン干潟での地域主体の保全活動を、私と韓国のNGO 「Eco-Horison Institute(生態地平研究所)」のチャン・チヨンさんがそれぞれ紹介しました。

科学的な情報に基づき、生態系の広いつながりを意識した保全計画を立て、地域が主体となった環境保全と持続的な海の利用を展開していくことが、ますます重要になってくると思います。
今後にもぜひご注目下さい!

この記事をシェアする

自然保護室長(淡水・リーダー開発・PSP)
安村 茂樹

修士(生物化学・早稲田大学)
サンゴ礁センター駐在時に地域住民主体の環境調査を立ち上げ(現在も石垣島、久米島で継続中)。南西諸島域にて、多分野の研究者と協働した野生生物有害化学物質汚染調査、生物多様性評価調査を指揮。GIS手法を用いた保全重要域図は生物多様性条約で示されたEBSAに、野外調査ではオキナワトゲネズミ再発見や久米島沖のサンゴ大群集発見に寄与。UNEP/GEF黄海プロジェクトと連携した日中韓湿地保全活動をリードし、2020年より緊急支援や淡水・教育活動に関わる部門を統括。

沖縄のサンゴ礁と森、中国・韓国の干潟の保全に従事。国際会議でサイドイベント主催やロビー活動をする機会をいただきました。国際、環境、NGO-この3ワードが合わさるWWFで、何をすべきか考え、その仕事の醍醐味を実感し、行動する。そんな機会を一人でも多くのスタッフに提供したいです。晴れの日に気が向いたら、自転車で通勤し、休みは、川でカヌー漕いでいます。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP