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2月2日はWorld Wetland day「世界湿地の日」


本日はワールド・ウェットランド・デイ、「世界湿地の日」です。

1971年の今日この日に、「ラムサール条約」が採択されたことを記念し、制定されました。
これは当初、水鳥の保護を主目的としていましたが、現在ではウェットランド、すなわち「湿地環境」を広く保全し、「賢明な利用」を進める条約として、世界の国々をリードしています。

自分も参加させていただいた、昨年ドバイで開かれたラムサール条約会議。日本からも環境省をはじめ、自然保護団体の関係者など、たくさんの人たちが参加しました。

ところでこの「ウェットランド」、実際どのような自然が含まれているか、ご存知でしょうか。

尾瀬ヶ原や釧路湿原のような湿原。海岸の砂浜や、河口に広がる干潟。また川や湖などは? サンゴ礁はどうでしょう。

実はこれらはすべて、ラムサール条約で定めるところの「ウェットランド」です。

サンゴ礁については全てではありませんが、「水深6m以内の海域」が含まれるため、石垣島・白保のサンゴ礁などは、立派なウェットランドなのです。

石垣島・白保のサンゴ礁。多くの生物をはぐくむのみならず、地元の人の暮らしも支えてきました。こうした自然を「賢明に利用」する「ワイズ・ユース」もラムサール条約の大きなテーマです。

もう一つ、このウェットランドの面白いところは、「自然か人工か」を問わないこと。
その視点で見ると一つ、日本の素晴らしいウェットランドの景色が見えてきます。
「水田」です。

九州北部に広がる水田地帯。私たちの保全プロジェクトのフィールドでもあります。こうした環境に生きる淡水魚の約4割が今、絶滅の危機にあります。

水田やそこを巡る水路、ため池などは、人が作った湿地環境ですが、長い間、人がこのいとなみを続けてきたことで、この自然を主な生息環境とする野生生物が数多く生まれてきました。
実際、アユモドキやカワバタモロコなど、日本しか生息していない国際的にも希少な生物は少なくありません。

ニッポンバラタナゴ。水田などにのみ生息する日本固有の亜種で絶滅が心配されています。産卵期が近づくと、オスの身体はこのようは見事な婚姻色になります。

今、こうした水田の自然が、全国各地で失われようとしています。
四季折々、多彩な彩りと、多様な命の息吹を感じさせてくれるこの景観が、世界的にも価値のある自然なのだ、ということを、今日この「世界湿地の日」にぜひ思い出していただければと思います。(自然保護室 並木)

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自然保護室(淡水 グループ長)
並木 崇

学士(環境情報学)。
前職ではランドスケープ設計事務所で、植物園や公園などの計画・設計に従事。都市公園コンクールなど受賞。2016年9月からWWFジャパンで有明海沿岸域の水田地帯におけるプロジェクトを担当し、2020年7月より現職。持続可能な農業の普及を通じた水環境の保全活動を推進。大学関係者、行政、企業、農業者のネットワークを活かした活動に取り組んでいる。

スポーツと自然の中で過ごすのが好きな子どもでした。大学で環境や建築を少し学んで、ランドスケープ(造園)の道へ。生きもののことを考えつつ土や石、水を取り扱うものづくりは楽しかったです。ものづくりだけではなく世の中の仕組みにも関心が高まってWWFへ。あきらめずに進んで行きたいと思います。

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WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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