【WWF声明】プラスチック国際条約INC-2での議論進展を歓迎しつつ、日本政府に対し、禁止を含む具体的国際ルールに基づく条約制定に向け、さらなる貢献を呼びかける


2024年末までにプラスチック汚染を根絶するための国際条約文書を策定することに向け、5月29日から6月2日までフランス・パリで、第2回 政府間交渉委員会(INC-2)が開催された。

WWFジャパン声明のポイントは以下の通り:

・WWFは、INC-2で、野心的で実効性のある義務的国際ルールに基づく条約制定を135か国が支持し、次回INC-3に際し条約のゼロドラフトの準備に合意したことを歓迎

・さらに、日本政府がINC-2 直前にプラスチック汚染を終わらせる高野心連合への参加を表明し、禁止を含む義務的拘束力のある条約を目指す合同声明に署名したことを評価

・次回INC-3に向け、日本政府に対し、義務的国際ルールを国別行動計画に優先して位置づけるとともに、ハイリスクなプラスチックを禁止することも含めた国際条約ドラフト作成への貢献を呼びかける

WWFは、INC-2に参加したおよそ180か国の中で、各国が行動を自主的に選択できるのではなくすべての国々に等しく適用される義務的国際ルールの導入を135か国が明確に支持したこと、さらに問題あるプラスチック製品や、素材、化学物質の禁止を優先させるように94か国が呼びかけたこと、そして、今年11月にケニアで開催されるINC-3に際し、条約文書案の初版(ゼロドラフト)を策定することに各国が合意したことを歓迎する。

ただし、複数の国々が既に合意された意思決定プロセスに異議を唱え、議論を遅らせることになる拒否権の導入を画策したことに懸念を示す。また、INC-2の議論において市民団体やNGO、科学者のオブザーバー参加が著しく制限されたことは遺憾であり、今後、市民参加型で透明性のある会議体とするよう改善を求める。

プラスチックの国際バリューチェーンにかかわる多くの主要企業は、プラスチック条約の企業連合(Business Coalition for Global Plastics Treaty)として、世界規模で変革を推進するために、義務的な国際ルールや規制を強く支持している。WWFは今後のINCにおける議論に、こうした意見がしっかり反映されることを期待する。

日本政府は、INC-2開催直前に、プラスチック汚染を終わらせるための高野心連合(HAC)に加盟し、57か国の大臣による、 禁止を含む義務的拘束力のある条約を目指す合同声明に署名した。WWFはこのことを評価する。

一方で、日本政府がINC-2において提出した文書によると、条約において、国別行動計画を最も重視しており、また、生産や使用段階における国際的な禁止に基本的反対の姿勢を示している。しかし、各国に導入する行動の取捨選択を国別行動計画に委ねた場合、国によって採られる対策が大きく異なり、公正な競争環境も整わなくなることで、プラスチック汚染の早期根絶が進まないことが懸念される。また、リサイクルの推進により、プラスチックの生産削減を期待するとしているが、プラスチックの大量生産による問題の解決のためには、必要のないものをそもそも生産・流通させない義務的な国際措置を導入することを最優先すべきである。日本政府には、国別行動計画に優先して実効性のある義務的国際ルールを位置づけるとともに、ハイリスクプラスチックを禁止することもルールに含めた国際条約ドラフト作成への貢献を呼びかける。

WWFは、日本を含む各国が次の公式会合(INC-3)までに、ゼロドラフトの準備など確実に進めることを求める。さらに、すでに日本を含め58の国と地域連合が加盟する高野心連合に、アジアを中心に、より多くの国々が参加することを呼びかける。

以上

WWF特使 マルコ・ランベルティーニのコメント
「1週間にわたる交渉を経て、世界はプラスチック汚染の危機を終わらせる国際条約の発足という大きな機会に一歩近づいた。これから準備される条約のゼロドラフトは、プラスチック汚染の悪化を反転させるために、INC-2での大多数の国の意向を反映し、必要ない/ 問題のあるプラスチック製品の生産や消費の禁止等を盛り込まなければならない。次の交渉(INC-3)に際し、各国政府はINC-2で見せた強い意志を持ち続け、プラスチック汚染を無くすために必要な野心的な条約の制定に向けて協力していかなければならない」

WWFジャパン サーキュラーエコノミー・マネージャー 三沢行弘のコメント
「HACは、バージンプラスチックの生産や消費を持続可能なレベルへと削減させるための、拘束力のある規制を盛り込んだ国際条約を2024年末までに取りまとめることを目指している。今回、日本政府がHACに参加したことを評価するとともに、今後HACが目指す方向に沿って、野心的かつ実効性のある国際条約作りに貢献していくことを期待する」

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