【WWF声明】WWFは日本を含む各国政府に対し、プラスチック問題早期解決に向け新たに発足した「高い野心連合」への加盟を求める


  • 2022年8月22日、2040年までにプラスチック汚染を根絶させることを目指す高い野心連合が、20カ国が加盟して発足した
  • この連合は、プラスチックの国際条約締結に当たり、各国で導入されている基準を寄せ集めるのではなく、法的拘束力のある国際的なルールと規制を導入することを求めている
  • 日本を含む世界各国の政府は、プラスチック汚染の根絶を大阪ブルー・オーシャン・ビジョンで目指している2050年という期限から前倒しで実現するためにも、高い野心連合に加盟することが求められる

WWFは、世界20カ国がThe High Ambition Coalition to End Plastic Pollution (プラスチック汚染根絶のための高い野心連合)を発足させたことを歓迎する。この連合は、国連で2024年の確定に向けて動いているプラスチックの国際条約において、各国の基準を寄せ集めたものではなく、生産・設計・廃棄というプラスチックのライフサイクル全般に渡り国際的なルールと規制とを導入することにより、遅くとも2040年までに確実にプラスチック汚染の根絶することを目指す。

WWFは、日本をはじめとした他の国連加盟国にこの連合への加盟を呼びかける。この連合は、プラスチック汚染の根絶を加速させるために高い水準の評価指標を設定している。これには、国際的な禁止、規制、基準などの世界的な方策、プラスチックのライフサイクル全般に渡り持続可能性を担保するため基準値や目標などが含まれる。高い野心連合は、問題のあるプラスチックの禁止を呼びかけているが、WWFはこれには不必要な使い捨てプラスチックが含まれると解釈している。

このようなルールや規制は、(リサイクルされたものではない)バージンプラスチックを製造・使用する企業、使い捨て容器包装を使用した商品を取り扱う企業に、大きな影響を与えることになる。しかし、プラスチックによる深刻な環境破壊はすでに世界中に広がり、今も拡大し続けていることから、全ての国による法的拘束力のある協働、プラスチック製品への共通の基準設定、プラスチックの製造や使用を含むライフサイクル全般での透明性や説明責任の向上が不可欠となっている。

WWFインターナショナルの事務局長、マルコ・ランベルティーニはこうコメントする。
「プラスチック汚染を根絶するためには、世界のリーダーがプラスチックのライフサイクルが環境破壊を助長し続けている現状を認識する必要がある。そして、世界は今年の3月に、プラスチック汚染を根絶するための国際条約の発足に合意した。次のステップは、必ずしも必要のない使い捨てプラスチックを含む、問題を引き起こすプラスチックの取り扱いを禁止し、プラスチックの製造における共通基準の設定や、プラスチックのライフサイクルにおける透明性を向上させるための規制の導入を真剣に検討することだ。高い野心連合は、世界が一丸となり深刻なプラスチック汚染の問題を全力で解決するための決意を、改めて示したものである。」

WWFはプラスチックの国際条約が、オゾン層破壊の要因となる有害物質の生産の根絶に向けて世界各国が比類ない水準で協力と決意を示した、モントリオール議定書の実績に匹敵する内容で実現することを想定している。

高い野心連合は、実効性のある技術的・財政的支援、科学的・社会経済的な評価を推進するとしている。これらは、ルールに従うことで義務的負担ばかりが増えることを意味するのではなく、国際基準に完全に沿った実効性のあるアクションプランを策定するために全ての国が十分な支援を受けられるようにするための鍵となる。

WWFジャパン プラスチック政策マネージャーの三沢行弘は以下の通りコメントする。
「この高い野心連合では、プラスチック汚染を2040年までに根絶することを目指している。これは、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンで設定された2050年というプラスチック流出根絶の達成目標を、10年前倒ししたものである。日本を含む各国政府は、より早くプラスチック汚染を解決するという国際社会の要請に応えるためにも、この連合に加盟し、実効性を有する国際条約の締結に向けてさらに貢献していくことが期待される。」

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