東京都の象牙取引規制に関する条例制定検討に期待


訪日外国人による象牙の違法な海外持出等への懸念など、象牙取引に関する国際的な関心の高まりを受け、東京都は、国内取引規制の検証と国際都市としてなすべき対策を検討するため、2020年1月「象牙取引規制に関する有識者会議」(象牙有識者会議)を立ち上げました。
WWFジャパンおよびTRAFFICも委員として招聘され、議論に参加してきた同有識者会議は、2022年3月29日、全7回の諮問を経た結果をふまえ、都に対し提言をまとめ、その内容を公開しました。

象牙有識者会議から東京都への提言(要約)

  1. 象牙の違法な国外持ち出しを防止し、日本の市場が密猟や違法取引に寄与していないことを国際社会に明示していくためには、国による法に基づいた全国的な取組が必要であり、都から国に強く働きかけを行なうこと
  2. 違法持出の防止に貢献する施策を継続させ、象牙取扱事業者と協力して市場の象牙製品が違法に国外に持ち出されることがないように一層取り組みむこと
  3. 日本の象牙製品の文化・芸術的な側面を評価しながら、象牙取引がゾウの密猟や違法取引に寄与しないようにするために、条例又はその他の効果的な方法を検討すること

アフリカゾウの密猟および象牙の違法取引撲滅を目指す動きが国際的に強まる中、世界有数の国際都市であり、日本の象牙取り扱い事業者の20%を有する東京都が、象牙の取引規制の改善の必要性および自治体としての責任を認識し、独自に検討を行なったことは評価できるものです。

WWFジャパンは、東京都が同有識者会議の提言をふまえた、実効性のある対策を確実に講じることを強く期待するとともに、特に、同会議でも提案を行ってきた次の点の実行を求めます。

・東京都内の象牙取引について、狭い例外を除き原則禁止を目指す指針を示し、それを規定する条例の制定に着手すること
・政策の遅れが指摘される日本政府に対し、先行して検討を進めてきた東京都として、次の2点の実現につながる政策を推進するよう提言を行なうこと
Ⅰ.緊急な措置を持って象牙の違法輸出を阻止する
Ⅱ.厳格に管理された狭い例外を除く国内取引を停止する

参考資料:
WWFジャパン・TRAFFIC東京都への提案:第5回 象牙取引規制に関する有識者会議資料(PDF)
象牙取引規制に関する有識者会議 報告書

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