【WWF声明】国連環境総会(UNEA)5.2で「法的拘束力のあるプラスチック汚染解決の国際条約」早期発足に向けた交渉開始の決議を求める


2022年2月28日から3月2日に開催されるUNEA5.2において、深刻なプラスチック汚染への対策が主要なテーマとなっています。WWFは、UNEA5.2において、プラスチック汚染の解決のためにプラスチックのライフサイクル全般をカバーした「法的拘束力のある国際条約」の早期発足に向けた正式な交渉の開始が決議されることを求め、緊急声明を行います。

1.プラスチック汚染に国境はなく、いかなる個人、企業、国も単独でこの問題を解決できない。世界の全ての国や企業が協調して対策ができるような国際条約が必要である。

  • これまで生産されたプラスチックは、世界中の陸上・海洋生物の2倍に達し、この大量生産の結果、プラスチック汚染は、世界中に広がってしまった。
  • 地中海、東シナ海、北極海を含む主要な海域で、マイクロプラスチック汚染は、甚大な生態系の破壊を引き起こすリスク水準を既に超えている。
  • 未解明のプラスチック汚染が、特に生態系の破壊を引き起こすことで、現在進行中の地球上で6度目の大量絶滅への動きを加速させている。

2.プラスチック汚染はそれを食い止めようとする努力を大きく上回るペースで悪化している。プラスチックの国際条約の発足が遅れるということは、この危機的状況をさらに悪化させ、解決を益々困難にしていくことになる。

  • 世界のプラスチックの年間生産量は2040年までに倍増し、その結果、2050年には海洋プラスチックごみの量は4倍に達する。そして、2100年にはマイクロプラスチックの量は50倍になってしまう。
  • プラスチックは半永久的に消滅せず、海洋流出した後に回収することは不可能である。そのため、流出量が積み上がることで、プラスチック汚染は危機的な水準となる。
  • プラスチックのライフサイクル全般における社会、環境、経済への負のコストは、2019年単年の生産分に限定しても、3.7兆ドル(約425兆円)に達する。

3.WWFは各国に対し、UNEAにおいてプラスチック汚染を解決するための国際条約の発足に向け、以下の内容での交渉義務化を要請する。

  • 法的拘束力を持たせることで、各国に対し世界共通のルールと規制の下で公正・公平な環境を実現させ、サーキュラー・エコノミーに基づく解決を世界中に拡大していくこと。
  • あらゆるプラスチックにつき、生産、消費、廃棄物・流出物管理において必要なアクションが取れるように、原材料生産から廃棄後に至るライフサイクル全般を対象に、世界的な規制と標準を組み込むこと。
  • 廃棄物管理において、インフォーマルセクターが担う重要な役割を認識した上で、このセクターの交渉への参加を可能とすること。

4.世界中から広く支持を集めている、プラスチック汚染を解決する国際条約を発足させるために、UNEA5.2での決議が必要である。

  • 世界で220万人以上の市民、120の国際企業、1000以上の市民団体、さらに国連加盟国の95%が、プラスチック汚染を食い止めるための国連での条約を呼び掛けている。
  • 28ヵ国を対象とした新たな国際調査*では、深刻さが増すプラスチック汚染に対処するために国際条約が必要だと考える人は9割にも達する。ただし、28ヵ国中、この意識が最も低いのは日本である。

WWFポジションペーパー

UNEA5.2 において、プラスチック汚染を解決するための国際条約の交渉義務付けの決議を求める(英語)

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