石炭火力輸出要件の見直し議論開始を歓迎する 公的支援の停止に期待


本日、環境大臣より、石炭火力発電所の輸出推進を見直す方針が示されたことについて、WWFジャパンは歓迎する。

ただし、本日の発表は、6月に向けて見直しをするという方針が政府内で合意されたこと、および要件の「厳格化」の意図が示されたのみであり、今後の政府議論の中で、実際にどのように見直され るのかを注視しなければならない。

WWFジャパンは、政府の議論がいわゆる「要件の見直し」を超えて(※1)、公的資金による石炭火力発電所への支援を原則禁止にする方針を採択することを期待する。

日本は、現状、海外の石炭火力発電所に対して、世界第2位の規模で公的資金支援を提供している (※2)。

一度建設されれば数十年は使うことが想定される石炭火発の輸出は、支援対象国のエネルギーを石炭依存に固定化してしまうため、公的支援を投入して優先するべき技術ではない。

そして、現状、もはや日本は中国に対しても格別に効率面で優れた技術を提供しているわけではな い(※3)。

石炭技術ではなく、再生可能エネルギー関連技術、エネルギー効率改善技術、そして、それらを普及・活用できる社会システム構築の分野や、適応対策の分野での支援をより重視するべきである。

※1 政府「エネルギー基本計画」の中では以下の様に「要件」が定められている。「エネルギー安全保障及び経済性の観点から石炭をエネルギー源として選択せざるを得ないような国に限り、相手国から、我が国の高効率石炭火力発電への要請があった場合には、OECDルールも踏まえつつ、相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合的な形で、原則、世界最新鋭である超々臨界圧(USC)以上の発電設備について導入を支援する。」

※2 Endcoal. Global Coal Public Finance Tracker.
https://endcoal.org/finance-tracker/

※3 自然エネルギー財団(2019) 「インフォパック:日本の石炭火力輸出政策5つの誤謬」
https://www.renewable-ei.org/activities/reports/20200212_coal.php

参考

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