プラスチック製レジ袋有料化に対するパブリックコメント


WWFジャパンは、「プラスチック製買物袋の有料化のあり方について(案)」及び「小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の
排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令の一部改正(案)」
に対し、以下のパブリックコメントを提出いたしました。

「プラスチック製買物袋の有料化のあり方について(案)」等についてのコメント

プラスチック製買物袋の有料化義務化の対象に例外を設けるのではなく、一律に有料化義務化を適用することを要請する。

政府策定のプラスチック資源循環戦略で「ワンウェイ(使い捨て)のプラスチック製容器包装・製品については、不必要に使用・廃棄されることのないよう、無償頒布を止め『価値づけ』をすること等を通じて、消費者のライフスタイルの変革を促す」という趣旨の記載があり、本(案)でも同様である。
「価値づけ」とは本来、その製造から適正な廃棄物管理に渡ってコストがかかるプラスチック製品につき、それに見合った適正な価格で提供することによりそのコストを使用者に「見える化」し、使い捨てによる過剰な大量消費を前提とした消費者のライフスタイルを、不必要な消費を抑制し資源を繰り返し使用する循環型へと転換していくことである。
すると有料化義務化の対象外とされた「バイオマスプラスチックの配合率が一定以上の買物袋、厚さが 50マイクロm(0.05mm)以上の買物袋、海洋生分解性の買物袋」についても有料化義務化し、その製造から廃棄物管理においてコストがかかっているということを利用者に積極的に示し「価値づけ」することで、不必要な消費を抑制していく必要がある。有料化が義務付けなければ、他の事業者が無料提供するのではとお互いに気にすることで、省令改正後も無料提供が行われていく可能性が否定できない。

また、上記代替の買物袋の利用を推進するという考え方そのものにつき、プラスチック資源循環戦略における3R+Renewableという基本原則の中で最優先すべきリデュース(代替品に依存しないごみ発生の抑制)と、そうではない代替品への切替えとを同じ優先順位で推進する(本来削減できるものについても、代替できるならそうしてもいい)というシグナルとなりかねない。これでは、循環型のライフスタイルへの転換には結びつかない。

さらに有料化義務化の対象外とされているものが、生産時の環境への負荷や廃棄物の適正管理等の面で、一律に持続可能性が担保されているとは到底認められず、生産地における生態系の破壊に直接的・間接的につながっていくリスクがある。

日本の一人当たりの使い捨てのプラスチック容器包装ごみの排出量は、アメリカに次いで世界で二番目に多いとされる。ついては、プラスチック製買物袋全体の不必要な消費を抑制する手段として、これらが確実に有料で提供されることを担保するために、プラスチック製買物袋の有料化につき、例外なき義務化とすることを要請する。
これにより、使い捨てのプラスチックの象徴的な存在であるプラスチック製買物袋において、不必要な資源の大量消費を資源循環型へと転換を図ることができ、今後の他の不必要なプラスチックの着実な削減に向けた指針としていくことが出来る。

具体的には以下の通り。
<該当箇所>
プラスチック製買物袋の有料化のあり方について(案)
1ページ23行目から27行目
(1)対象となる買い物袋 
「同時に
2)プラスチック資源循環戦略に掲げた基本原則である3R+Renewable の観点から一定の環境性能が認められる、バイオマスプラスチック・紙等の再生可能資源を用いた買物袋、リユースバッグ等繰り返し使用される買物袋、海洋生分解機能が適切に発揮される買物袋への転換を推進する。」
及び
2ページ6行目
「対象とならない、」
の文言を削除する。

<理由>
プラスチック資源循環戦略の「3R+Renewableという基本原則」につき、国際的に合意され、循環型社会形成推進基本法の基本原則となっている、リデュ―ス(代替品に依存しないごみ発生の抑制)を最優先すべきであるという考え方に基づくべき。すると、本来リデュ―ス可能な買物袋につき、バイオマスプラスチック、紙、海洋生分解機能のあるとされる買い物袋への転換は、推進されるべきではない。
生物由来の有機性素材を用いたバイオマスプラスチックは、多くの場合生産時の持続可能性の担保が確認されていない。さらにこれらの分別回収とリサイクル(再生利用)の仕組みを構築しない限り、多くが焼却されることになるが、焼却時に熱回収(焼却熱の利用)がされたとしても、資源として循環されることはない。
また海洋生分解性プラスチックについては、現在の技術水準では海洋流出後に分解されない可能性が高い。よって、適切に管理・回収されたとしてもどうしても自然界に流出してしまう一部のプラスチックにつき、せめて生分解させるという意図で限定的な提供・使用が検討されるべきであり、提供・使用自体を推進すべきものではない。
厚さ0.05mm以上の買物袋についてリユースされる(何度も繰り返し使われる)とは限らない。
むしろ消費者には、持続可能な素材を用いたマイバッグを繰り返しリユースすることを推奨すべき。

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