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白保海域に座礁した難破船の対応

この記事のポイント
2019年4月、石垣島東海岸の白保の海域に、無人の台湾の漁船が漂着しました。これが、7月の台風で大きく移動し、貴重なサンゴ礁生態系への影響が懸念される事態となりました。白保の海域は、世界でも最大級といわれるアオサンゴの群集をはじめ、貴重なサンゴ礁の自然が残る海域。白保にあるWWFサンゴ礁保護研究センター「しらほサンゴ村」では、この海への悪影響を最小限にくいとめるため、地域の方々のご協力のもと、この問題への対応に取り組んでいます。

白保の海に漂着した難破船

白保海域に座礁した台湾の難破船
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白保海域に座礁した台湾の難破船

2019年4月に台湾漁船が沖縄県石垣島の白保海域に座礁しました。この船は海外で火災にあった後に潮の流れに乗って漂着したものと考えられます。
座礁した場所は、白保海域に広がるサンゴ礁の外縁部、外海に面した礁原の上で、その後、環境省や海上保安庁などの関係行政機関を中心に、状況の確認と監視が行なわれてきました。
この難破船は数カ月にわたり、比較的安定した状態にありましたが、2019年7月に発生し石垣に接近した台風5号の影響を受けて大幅に移動。
白保の海岸に面した、サンゴ礁の広がる礁池内を移動し、浜と礁原をむすぶ浅瀬に再び座礁しました。
この海域は、西表石垣国立公園の海域公園地区内であり、周辺にはサンゴ群集が広く生育しています。
今後、撤去までに多くの時間を要する場合、台風等により海域公園地区内で難破船の移動が発生し、海域公園地区内に残された国際的にも貴重なアオサンゴ群集をはじめ、海の生態系への多大なる影響が懸念されます。

白保の海岸から見える難破船
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白保の海岸から見える難破船

難破船の撤去に向けて

こうした状況を踏まえWWFジャパンサンゴ礁保護研究センター「しらほサンゴ村」では、地元の白保自治公民館や地域の関係団体との連携・協力のもと、難破船の早期撤去に向け、関係機関・関係者への要望と意見交換を実施してきました。

2019年8月1日現在、早期の撤去に向けた関係者間の調整が行われていますが、撤去の作業が海や浜の自然に悪影響を及ぼす可能性も考えられます。

「しらほサンゴ村」では、引き続き白保公民館や白保地域の関係団体との連携・協力のもと、白保海域に残された貴重な自然環境の保全のため、難破船の速やかな撤去と撤去時の環境配慮を関係機関・関係者に要望しつつ、速やかな問題の解決に向け、協力していきます。

なお、この難破船の撤去作業が始まった場合、白保海域内とその付近で重機等を使った工事が発生する可能性があります。
該当する海域とその近辺は、危険が予想されますので、白保に訪れる皆さまはくれぐれも工事現場付近に近づかないよう、ご注意下さい。

追記(2019年8月20日)

白保海域に座礁した難破船の海岸への引き揚げが8月18日に完了したことが、関係者・関係機関より報告されました。
現在、難破船は海岸部に固定されており安定した状態ですが、最終的な撤去までの間、引き続き状況の確認と関係者・関係機関との情報交換を継続してまいります。

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