トラを1頭1頭見分けるには?
2016/02/19
※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。
自然保護室の川江です。
昨年、極東ロシアのシベリアトラの個体数がこの10年間で確実に増加している、という報告をお届けしました。
これは、困難なフィールドの現場で行なわれた、大規模かつ精度の高い調査が明らかにした、保護活動の成果です。
その調査の中には、トラを1頭1頭見分け、個体数を推定する作業も含まれています。
でも、どうやってそんな「見分け」をするのか? 皆さんはご存知でしょうか。
その個体識別をちょっと体験してみてください。
こちらに用意した4枚のスマトラトラの写真。ここに何頭のトラが写っているか、わかりますか?
答えは3頭。
1、2、3番はそれぞれ異なる個体ですが、4番は1と同じ個体です。
実は、人の指紋が1人1人異なるように、トラは縞模様が1頭1頭違います。この縞模様を見分けることで、個体を識別することができるのです。
たとえば、1番のトラはお腹の所に楕円形の模様がありますが、2番のトラにはそうした模様がありません。
3番と4番のトラには、同じような模様がありますが、右の後脚に注目すると、明らかに模様が違うことが分かると思います。
極東ロシアをはじめトラの個体数調査では、こうした写真の分析に加えて、雪上や地面に残された痕跡(足跡など)の測定やDNA分析も併用されていますが、写真や映像の果たす役割は大きくなっています。
2010年(寅年)の時点で推定された世界のトラの個体数は3,600頭前後。
ロシアやインドなどのトラの生息国とWWFでは、 その数を次の寅年である2022年までに、倍近い約6,000頭に増やす目標を掲げています。
保護と生息環境を保全する活動を強化し、この目標を実現させるためにも、 ぜひご支援をお願い致します。
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