始まったCOP17 アフリカが求める「気候正義」


温暖化担当の山岸です。
南アフリカ共和国のダーバンに来ています。いよいよCOP17が始まりました。京都議定書に続く、温暖化の防止に向けた新しい約束を、世界が交わすことができるか。その未来が問われる国連会議です。

開催の前日、現地ではアフリカの宗教界が主催する、COP17の成果を求める集会が開催されました。アフリカ宗教界は今年6月、ケニアのナイロビでの会議を皮切りに、アピールを続けながら各国を行進。ついにダーバンに到着したのです。

アフリカ大陸は世界で、最も深刻な地球温暖化の被害を受けている地域の一つ。国連では、アフリカ諸国の農業生産性が2020年までに最大で50%低下し、洪水や旱魃によって7,500万人から2億5,000万人の環境難民を生むと予測しています。

こうした事態にアフリカの宗教界は立ち上がり、「気候正義」と銘打った活動を続けてきました。これは、地球温暖化に対する責任が最も小さいアフリカが、最も深刻な影響を受けている現状に対し、社会的な正義を求めるものです。

この日の集会は、伝統音楽からラップまで人気アーティストが登場するコンサートに湧き、ノーベル平和賞を受賞したデツモンド・ツツ司教をはじめ、「気候変動の解決なしに、アフリカの貧困を撲滅することはできない。今こそ気候正義が必要だ」という各宗派の代表者の訴えに大きな拍手が寄せられました。

さらに、UNFCCCのクリスティアナ・フィゲレス事務局長と、COP17で議長を務める南アフリカ共和国のマイテ・ヌコアナ=マシャバネ国際関係・協力相も登壇。明日からの会議を取り仕切るこの2人の女性に、気候正義を求める文書が手渡され、参加者からの期待のこもった熱い拍手には、感極まったフィガレス事務局長が声をつまらせる場面もありました。

気候正義を求めるアフリカの声を世界に届けられるか。2週間の会議の始まりです。

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会場となった
キングズ・パーク・ラグビー・スタジアム

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盛り上がる参加者たち。
こうしたアフリカ宗教界による活動は
広義の市民活動と認識されており、
UNEP(国連環境計画)やノルウェー政府
などからの資金援助も受けています。
 

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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