国連温暖化防止会議COP17(ダーバン会議)はじまる


2011年11月28日から南アフリカ共和国・ダーバンで、第17回気候変動枠組締約国会合と第7回京都議定書締約国会合(COP17・COP/MOP7)が始まりました。IPCCの指摘する、温暖化がもたらす未来への脅威に対し、国際社会がいかに対応し、危機を乗り越えてゆくのか。その方向性を定める重要な会議が、2週間にわたり続くことになります。

地球温暖化がもたらす「極端現象」

2011年11月18日、国連の地球温暖化に関する専門家の集まりであるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、異常気象についての特別報告書を発表しました。

これは「気候変動への適応を進めるための極端現象(Extreme Events)と災害のリスク管理に関する特別報告書」と題した、800ページにおよぶレポートです。11月14日から18日まで、アフリカのウガンダで開かれていた会議で、IPCCの加盟国194カ国の政府代表により、その要約が採択されました。

特別報告書は、今後の地球温暖化の進行を、3つのレベルに分けて想定し、それぞれのパターンのもと、世界の各地域がどれくらい異常高温や集中豪雨に見舞われるか、その可能性を指摘しています。

最悪のシナリオでは、21世紀の100年間の気温の上昇幅を2~5.4度に設定していますが、この通りになると、世界の多くの地域で、20世紀には20年に1度の割合で起きていた異常高温が、2年に1度の割合で起きると予測されています。

日本を含めた東アジアも例外ではなく、21世紀半ばまでに平均気温が2度、100年後には4度上がると予測されています。

また、地域ごとにも、北アフリカやヨーロッパで干ばつが頻繁に起きる可能性や、大洋に浮かぶ島国が海面上昇やより強い嵐の脅威にさらされること、また、カリブ海沿岸のアメリカ諸国を襲うハリケーンが強大化する恐れ、南アジアや東南アジアが大雨にさらされる危険性などが指摘されています。

こうしたさまざまな事象は、人が多く居住する各国の沿岸域が、とりわけ大きな被害に遭うリスクを警告するものであると同時に、温暖化によって移住を余儀なくされる環境難民を増加させることにつながるものといえます。

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世界は温暖化の脅威を乗り越えられるか

2011年11月28日から南アフリカ共和国・ダーバンで始まった、第17回気候変動枠組締約国会合と第7回京都議定書締約国会合(COP17・COP/MOP7)は、こうした未来への重大な懸念に対し、国際社会がいかに対応し、危機を乗り越えてゆくのか、その方向性を定める重要な会議といえます。

この会議は、「京都議定書」の第一約束期間(2008年~2012年)が終わる2013年以降に、国際社会がどのような約束のもと、協力して地球温暖化問題に取り組んでいくのか、それを決める会議です。

これは本来、2009年のコペンハーゲン会議(COP15・COP/MOP5)で世界が答えを出さねばならない課題でしたが、その後2年間、結論を出せないまま、ダーバンに至ることになりました。

京都議定書の第2約束期間に関する合意や、新しい議定書などの「法的拘束力のある合意」が困難である、とする主張は、日本国内に限らず、一部の国からも出されています。しかし、それによって、警告されているさまざまな温暖化の影響を防ぐことが出来なければ、将来の世代にますます、その影響のツケを残してしまうことになるでしょう。

温暖化の影響を可能な限り食い止め、自然と共生した未来を創ることができるか、どうか。
ダーバンでの会議の結果は、そのゆくえを示す、一つの道しるべになることでしょう。

12月9日まで続くこの会議のゆくえに、ぜひ注目してください。

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