不可能を可能にした国、南アフリカでのCOP17
2011/11/30
温暖化担当の小西です。
厚い雨雲がすっかり姿を消し、空が晴れ上がりました。COP17が初日を迎えたここ南アフリカのダーバンは、会議の開幕を祝福するかのような、さわやかな朝を迎えました。
開会式では、COP16で議長をつとめ、カンクン合意をまとめあげた、メキシコのパトリシア・エスピノサ外務大臣や、COP17の議長である南アフリカのマイテ・ヌコアナ=マシャバネ国際関係・協力相などのスピーチが続きました。
そして、UNFCCCのクリスティアナ・フィゲレス事務局長と、南アフリカのシェイコブ・ズマ大統領は、世界に新しい歴史を切り開いた、南アフリカにゆかりのある2人の人物をそれぞれ紹介し、参加者の心に希望の灯をともしました。
この2人とは、アパルトヘイトを廃止に導き、後にノーベル平和賞を受賞したネルソン・マンデラ、そして、インドを独立に導いたマハトマ・ガンジーです。
イギリスに留学後、南アフリカで弁護士として働いていたガンジーは、白人ではないことを理由に列車から降ろされたことがありました。この経験がガンジーをインド系住民の権利向上、そしてインド独立へと向かわせたのです。
「当時は誰も、彼らが描いていた理想が実現するとは想像さえできませんでした。しかし、不可能と思われたことは可能になりました。それを実現した国が南アフリカなのです」
これから始まるCOP17の交渉も、「京都議定書に続く新しい約束がなくなるかもしれない」という危機を抱えています。
しかし、フィゲレス事務局長とズマ大統領はともに、このマンデラとガンジーの功績を引き、「強い意思があればどんな困難も乗り越えられる、気候変動という世界の課題を解決する国際合意をこのダーバンで実現しよう」という強いメッセージを発しました。
前夜から降り続いた雨がこれまでの対立を洗い流し、温暖化のない未来に向けた建設的な交渉が始まることを期待します。