科学の警告を政策に COP17会場より


COP17が開催されている南アフリカのダーバンより、温暖化担当の小西です。
こちらでは、多くの議題について会合が始まりました。参加者の多くは当日のプログラムを手に会議室から会議室へと移動し、交渉の行方を見守っています。

こうした交渉に影響を及ぼすのが、国連機関などが発表する温暖化に関する報告書です。COPのような重要な会議の際には、各国の決断の参考になるようなさまざまな報告書が発表されます。

今回もWMO(世界気象機関)が11月22日、大気中の二酸化炭素の平均濃度が、産業革命前より約40%高い389ppmと観測史上最高を記録したことを発表。29日にはダーバンでの記者会見で、2011年の世界の平均気温が観測史上10番目に高く、温暖化の影響は明らかであるとの見解を明らかにしました。

また、UNEP(国連環境計画)も23日、通称「ギガトン・ギャップ・レポート」を発表し、12月1日にダーバンでレポートに関するサイドイベントを開催しました。
ギガトン・ギャップとは、温暖化の防止に必要な温室効果ガスの削減量と、各国の削減目標の合計量との乖離(ギャップ)が、10億(ギガ)トン単位であるために名づけられた略称です。

気候変動枠組条約の締約国は「産業革命以前と比較した地球の気温上昇を2度未満に抑えること」に合意しています。これを達成するには、2020年の世界の排出量を440億トンに抑えなければなりません。

しかしUNEPは、42の先進国と44の途上国が現時点で発表している、2020年までの自主的な削減目標の範囲を最大限合計しても、なお60億トンから110億トンもオーバーすると分析しています。

それでも、厳しい現実を直視したこのUNEPのレポートは、大幅な省エネルギーや自然エネルギーへの転換、森林減少の防止、国際船舶・海運からの排出削減などのあらゆる削減行動を行なえば、ギャップを埋めることが技術的、経済的に可能であると結論づけました。

温暖化を裏づける事実がまた明らかになり、これを防ぐための解決策は示されました。今、必要なものは、解決する意思です。

  

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COP17の会場に展示された、さまざまなキルト

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参加者の誰もが立ち寄るドキュメントセンター。ここでその日のプログラムを手に会場を走りまわる

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12月1日に、ダーバンで開催された、UNEPのギガトン・ギャップに関するサイドイベント。各国からの参加者の大きな関心を呼んだ

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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