「保護」と「管理」を切り分ける?鳥獣保護法改正のゆくえ
2014/04/17
草刈です。
先日、衆議院の環境委員会の国会の会合に参考人として呼ばれ、意見陳述をしてきました。議題は今、国会で審議されている、鳥獣保護法の改正についてです。
この鳥獣保護法が前回、1999年に改正された時、著しく増えたり、減ったりした野生動物の保全・管理を進めるための「特定鳥獣保護管理計画」制度が作られました。
「保護」と「管理」の考え方も、その「計画」の中に書かれていたのですが、今回の法改正ではその2つを完全に分けてはどうか、という意向が強く改正案に反映されようとしています。
大雑把にいうと、数の少ない動物は「保護」し、数の増えすぎた動物は狩猟者や業者が「管理」(減少)しよう、言う考え方です。
一見、合理的に見えるのですが、自然はそう簡単に割り切れるものではありません。同じ場所に、絶滅危機種もいれば、個体数の多い動物も生息していることがあるからです。
「管理」だけに捉われると、現場での狩猟などの作業中、数の少ない植物を踏み荒らしてしまう、というようなことも起こり得るでしょう。
一方で、シカやイノシシが非常に増え、農林業への被害が深刻になっている地域も増えているため、狩猟による個体数管理に頼るのもやむを得ない面があります。
あくまで、生態系のバランスを考え、保護・管理を一つの取り組みとすることが大事なのです。
こうした「日本の野生鳥獣をどう守るか」という問題に長期的に取り組むため、私たちは各地域に野生生物の保護管理の専門家や、捕獲を専門とする担当官を置くべきではないか、と考えています。
国会で意見陳述した他の3名の参考人の方々も、同じく専門家の配置が必要であると語っておられました。
そうした方針を国の政策として位置付ける「鳥獣保護法」の改正案が、今週中には衆議院を通る見込みです。さて、どうなるか?!注目したいと思います。
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