【動画あり】大きく成長した仔ヒョウの姿!


※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。

自然保護室の川江です。
私たちWWFジャパンが支援している極東ロシアのプロジェクトでは、絶滅の危機にあるアムールヒョウの生息調査を行なっています。

その主力になっているのは、森の中に仕掛けられた自動撮影カメラ。

これらのカメラは、これまで知られていなかった貴重な生態を写すことがあり、2013年の秋と2014年の春には、3頭の仔を育てるアムールヒョウの母親の姿が撮影されました。

この時の映像では、末っ子のヒョウが左前脚を怪我したり、突然母ヒョウがいなくなったりとハラハラさせられる出来事がいくつかありましたが、仔ヒョウたちが無事に成長している様子が捉えられていました。

そして、それから1年後の2015年春。
3頭のうちの1頭が、独り立ちし、遊んでいる姿が撮影されました!

この仔ヒョウは、「ベリー」と名付けられた末っ子のメスで、3頭の中で最もおとなしく、獲物にありつく順番も最後だったため、厳しい自然の中で生き残れるのか心配されていました。

2011年3月に撮影された「ベリー」。この時はまだオスかメスかもわかりませんでした。

「ベリー」が識別できた理由は、ヒョウの斑紋が人間の指紋のように1頭ずつ異なり、成獣になっても変わらないためです。

そして、WWFは国立公園当局と協力して、各個体の過去データを保存・分析し、新たな映像が撮影された際に個体の特定を行なってきました。

その成果あっての、嬉しい報告でした。

この映像は、普通はもっとおとなしいメスが、オスのように遊ぶ姿を捉えた、専門家も驚くべき映像だったとのこと。

また、この「遊び」には、木に自分のにおいを擦り付け、他のヒョウになわばりを示す意味もあります。

ヒョウは、同性同士で互いに排他的ななわばりを持つため、一定の個体群を安定的に維持するためには、広い森が必要となります。

ベリーがいつか母親になり、アムールヒョウたちがその命を未来に引き継いでいけるように。

今後も極東ロシアの森を守る取り組みを進めて行きたいと思います。

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自然保護室長(森林・野生生物・マーケット・フード・コンサベーションコミュニケーション)、TRAFFICジャパンオフィス代表
川江 心一

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修士課程修了。
小学生の頃に子供向け科学雑誌の熱帯雨林特集に惹きつけられて以来30年間、夢は熱帯雨林保全に携わること。大学では、森林保全と地域住民の生計の両立を研究するため、インドネシアやラオスに長期滞在。前職でアフリカの農業開発などに携わった後、2013年にWWFに入局。WWFでは、長年の夢であった東南アジアの森林保全プロジェクトを担当し、その後持続可能な天然ゴムの生産・利用に関わる企業との対話も実施。2020年より現職。

小学生の頃に科学雑誌で読んだ熱帯雨林に惹きつけられると同時に、森林破壊のニュースを知り「なんとかしなきゃ!」と思う。以来、海外で熱帯林保全の仕事に携わるのが夢でしたが、大学では残念ながら森林学科に入れず・・。その後、紆余曲折を経て、30半ばにして目指す仕事にたどり着きました。今でもプロジェクトのフィールドに出ている時が一番楽しい。

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