肌で感じた「野生生物が生きているあかし」
2018/07/31
先日、ユネスコの世界自然遺産にも指定されている、インドネシア語で丘(Bukit)、線状に広がる(Barisan)、南に(Selatan)という意味を持つ、インドネシア・スマトラ島南部に位置するブキ・バリサン・セラタン国立公園へ行ってきました。
ここは、日本とインドネシアのWWFが長年協力しながら保全活動を続けてきた、貴重な自然の残るフィールドの一つです。
その名の通り、起伏に富んだ山岳の熱帯林に覆われているこの国立公園では、絶滅の恐れの高いスマトラサイやゾウ、トラなどの生息地にもなっています。
今回は特別に、スマトラサイの痕跡調査に同行させてもらいました。
川を渡り、草木をかき分けて進む道ならぬ道。地面を這うヒル、そして棘のある植物から肌を守るために頭から足まで、森に入るには完全防備が必要です。人間が簡単に立ち入ることの出来ない環境に、野生生物が生息していると実感した瞬間でもありました。
また、森の奥に進むにつれて、マレーバクの蹄の跡や、葉をついばんだ食痕、そしてスマトラトラの大きな足跡に糞などの痕跡が次々と見つかりました。スマトラトラは、獲物を探しているときしか動かないそうで、見つかった足跡はなんと1~2日前の出来たてホヤホヤのものだそうです!
残念ながら今回は目的であったスマトラサイの痕跡は発見出来ませんでしたが、森に入るのが初めての私には見えない「野生生物が生きているあかし」が見える現地スタッフの研ぎ澄まされたスキルは大変感心するものでした。
日本からのご支援もあり、現地のスタッフはほかにもカメラトラップの設置や、データの回収・解析、地域住民との連携など、大変な苦労をしながら、活動を着実に進めてくれています。
ご紹介をさせて頂いたのは一部ではありますが、ぜひ引き続きご注目頂き、活動を応援いただければ嬉しいです。