どうなる?温暖化の科学をめぐるIPCC会議


スウェーデンのストックホルムより、温暖化担当の小西です。
こちらで開かれているIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第1作業部会の総会は、開催日程の半分が終わりました。

温暖化の科学について、世界の政策決定者向けにまとめる「要約」の文章を、115か国の政府代表団が承認する大事な会議、なのですが、まだ承認された文章はまだ10分の1くらいです。

進展の遅さが危ぶまれる中、3日目からは早朝8時から深夜10時まで会議が延長されました。食事もすべて会場内。文字通り缶詰め状態です。

異なる意見が多く出されて合意の糸口が見えない項目は、小グループで議論が進められていますが、すでに3つもこの小グループが作られました。

特に温暖化の交渉にもからみそうな項目は、初日から小グループが作られましたが、まだ合意に達していません。

それでも、世界中の第1級の科学者たちがこれだけ一堂に会し、100か国以上の政府が真剣に中身を吟味しながら、政策決定者向けにわかりやすい要約を作ろうと力を尽くしているさまを目の当たりにすると、IPCCが今の段階の最新の科学のコンセンサスを提供しようとする良心を強く感じます。

私たちWWFからは約10人のスタッフが参加し、朝から夜までシフトを組んで、別室の議論も含めて、すべての議論を傍聴していますが、本当に寝る時間がない感じ。

それでも、ランチタイムや休憩時間には、IPCCの主執筆者たちによるさまざまなテーマのプレゼンテーションがあり、実に勉強になる環境でもあります!まさに最新の温暖化の科学の発表前夜、科学漬けの毎日を送っています。

報告書の発表は27日の予定です。どのような展開になるか、ぜひご注目ください!

会議場の様子。缶詰になるのもこの会議場。

今回参加しているWWFの仲間たち。さまざまな国から来ています。

今回の宿は、なんと船! 会場のすぐ目の前の海岸に横付けされた船が私たちのホテルなんです。部屋はすごく小さく、トイレがすぐに壊れたりしていますが、会場まで歩いて2分という環境はすごく助かっています!

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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