G7にて、2030年温室効果ガス46%削減目標を実現する本気を示せ 石炭フェーズアウトと再エネ50%引き上げが今後10年のカギ


4月22日、菅総理が政府の地球温暖化対策推進本部において「2030年温室効果ガス削減目標を46%とし、50%の高みへのチャレンジを追求する」と表明した。
また、5月26日に成立した改正地球温暖化対策推進法では、2050年脱炭素社会の実現が明記され、日本がパリ協定の実現に継続的に取り組むことを国内法において約束することとなった。
一方で、2030年46%削減の目標はいまだ表明にとどまっており、WWFジャパンは、これを早期に国別削減目標NDCとして明文化し、国連気候変動枠組条約事務局にG7までにも提出することを求める。
ここで重要なことは、菅総理が2030年46%削減に加えて言及した「50%の高みへの挑戦を続けていく」という決意をNDCの中でも示すことである。
日本が国際社会に向けて表明したことをしっかりと明文化することが、日本の本気度を示し、世界の脱炭素化へ貢献することを真に約束することとなる。

そして2030年46%という削減目標を実現する具体策を国際的に明示することである。
長らく批判を浴びてきた日本の石炭火力偏重を継続していては、46%削減はおぼつかないことは明白だ。
日本が、2050年脱炭素化を達成する道筋に乗れるかどうかは、今後10年間に、いかにスピード感と実効性をもった行動をとれるかにかかっている。
そのためには、次期エネルギーミックスにおいては、2030年46%削減、そして2050年脱炭素化への道筋と整合する高い再生可能エネルギー目標と高効率を含む全ての石炭火力の早期廃止の方針が不可欠である。
国がこうした方向性を明確に示すことこそが、産業界に予見性を与え、脱炭素化に沿った中長期での事業戦略の策定を可能とする。
環境技術立国ニッポンを取りもどすことにもつながる。

2020年12月にWWFジャパンが発表した「脱炭素社会に向けた2050年ゼロシナリオ」は、以下の方策をとれば、2030年にCO249%、温室効果ガス45%以上を削減でき、2050年には脱炭素社会を実現できることを示した。
また、2021年5月に発表した同シナリオのコスト算定編では、その実現に必要な設備投資と運転費用の合計は、BAUと比べても十分に費用効率的であることが示された。

WWF提言:2030年46%削減を実現するための次期エネミックスの5つの重要ポイント

  • 現在想定できる省エネ技術・対策の普及により省エネルギーを最大限に推進することで、最終エネルギー需要は2030年に21.5%減(2015年比)が可能
  • 石炭火力を2030年までに全廃止し、ガス火力(LNG)の稼働率を現状35~50%から60~70%程度にあげる
  • 自然エネルギー(主に太陽光・風力を増加)の電力に対する比率は2030年に約50%に引き上げる
  • 10電力地域におけるダイナミックシミュレーションから、自然エネルギー50%導入でも現状の電力系統インフラの範囲で過不足なくまかなうことが可能
  • 原発は稼働中及び再稼働が見込まれている原発のみを想定に入れ、稼働30年で廃止

WWFジャパンは、日本政府が新たな削減目標をNDCとして早期に示し、それを実現する有効な具体策をもって、長期でのイノベーションを待つだけでなく、今できることを最大限かつ早急に進めていくことを強く求める。そうした政府のリーダーシップこそが、国際社会に伍して、日本のグリーンな成長と復興をもたらし、パリ協定の実現すなわち世界の脱炭素化に貢献するものとなるであろう。

参考

46%温室効果ガス削減目標(2030年)を実現する 「2030年エネルギーミックス」提案 ~2050年100%自然エネルギーで賄う社会に向けて~

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