環境NGOグループ、大規模バイオマス発電の中止を求める共同声明発表
2020/12/04
バイオマス発電が「生物多様性を脅かし、気候変動を加速させる」?
2020年12月3日、国際環境NGO FoE Japanなど国内外32の環境NGOが共同声明を発表し、燃料を輸入する大規模バイオマス発電について、「生物多様性を脅かし、気候変動を加速させる」として、中止を求めました。WWFジャパンは、本声明に賛同団体として名前を連ねてはいませんが、本声明には重要な指摘が含まれていると考えます。
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声明では、近年、木質ペレットなどの輸入バイオマス燃料が急増していることをうけ、生産地における自然林の伐採など生態系への影響、さらには、森林や土壌が蓄えている炭素ストックの減少をもたらしていることを指摘。
また、海外産の燃料は輸送の際に温室効果ガス(GHG)を排出しているとし、「GHG排出の削減が見込めないような事業、森林の減少・劣化を伴うような事業は、すでに認定されているものも含めて、FITの対象から除外するべき」と主張しています。
バイオマス発電なら、環境によい?
WWFジャパンは、温室効果ガス排出量削減に向けて、再生可能エネルギー利用を拡大していくことは大切だと考えます。
しかし、バイオマス発電の場合は、太陽光や風力と違い、エネルギーを作り出すために燃料を供給し続ける必要があります。利用する燃料が化石燃料と比べて大幅な温室効果ガスの削減に繋がっているか、という点が非常に重要なのです。
その燃料が生産される過程で森林破壊や森林・泥炭火災が引き起こされていないか、燃料の加工や輸送、燃焼時に発生する温室効果ガスを計算に入れても有意な排出削減効果があるか、といった点を十分に確認する必要があるでしょう。
根拠なく「バイオマス発電なら、環境にいいだろう」と考えることに対してWWFジャパンは強い懸念をもっています。
今回の声明で懸念されている、「生物多様性を脅かし、気候変動を加速させる」バイオマス燃料が容認されることがないよう、政府や企業の動きを今後も慎重に見守っていきます。
バイオマス燃料の持続可能性を求めるWWFジャパンのこれまでの活動
- 「バイオマス燃料の持続可能性に関するポジション・ペーパー」公開(2019年5月)
- 経済産業省他に対し「京都府舞鶴港におけるパーム油を燃料としたバイオマス発電所事業計画の見直しと燃料の持続可能性基準を求める要望書」提出(2019年7月)
- 経済産業省および資源エネルギー庁に対し「FIT法におけるGHG排出削減基準および持続可能性基準策定を求める要望書」提出(2020年7月)