資料案内『水田・水路でつなぐ生物多様性ポイントブック』
2020/03/24
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・資料名『水田・水路でつなぐ生物多様性ポイントブック』
・企画・編集:WWFジャパン
・発行:2020年3月
農業と生物多様性保全の両立をめざして
日本では過去の約50年間に、コンクリートなどを使った水田や水路の近代化と改修が進み、これらの水環境に生息する、多くの水生生物が絶滅の危機に瀕するまでになりました。
しかし、中にはこうした生物の生息に適した環境を、維持する配慮をほどこし、実施された改修も、少なくありません。
そこで、WWFジャパンでは各分野専門家のご協力のもと、農業を近代化させつつ、生きもの生息に配慮した、水路の整備改修の実用的な工法をまとめたポイントブックを作成しました。
これは、国際的にも独自性、希少性の高い、日本の水田・水路の自然を野生生物を保全する取り組みの一環として、作成したものです。
九州北部の水田地帯を参考として
このポイントブックでは、まずどういった環境に生物が生存しやすいかについて分かり易く説明。同時に、そうした環境を再現したり、確保できる工法の工夫について、実際のアイデアをまとめています。
事例として扱っている環境は、昔から水田と、それをめぐる「クリーク」と呼ばれる水路が無数に作られ、多くの絶滅危機種の魚類が今も生きづく九州北部の水田地帯ですが、工法そのものは、全国の同様の環境でも応用が可能です。
本書に収録した情報だけでは解決できない課題もあるとは思いますが、特に行政のご担当の皆さまには、ぜひご参照いただき、生物多様性保全への最大限のご配慮をお願いできれば幸いです。
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タナゴは、種ごとに、産卵する二枚貝の種も異なる。タナゴの多様性を守るには、二枚貝の多様性も重要。
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絶滅危惧種のニッポンバラタナゴを守るには、二枚貝やヨシノボリ、オイカワなどとのつながり全体を守る必要がある。
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(左図)水域と陸域が連続する部分に、浅い湿地状の場所をつくりだす。ここが、産卵や稚魚の生育場所として機能する。(右図)ところどころに深みがあれば、非灌漑期に水位が低くなっても、魚たちが身を隠せる。
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堰などの落差は、必要に応じ魚道の設置を検討する(①)。そのほかの場所は、非灌漑期の水門操作(②)や、灌漑期の水位上昇によって(③)、水路間が接続する時期を少なくとも年に 1 シーズン程度は設けたい。
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三面張りにすると、底生生物や魚類の多くは生息場所を失う。水路の立体交差部など避けられない場所だけに限定し、原則避ける。
配布について
こちらのハンドブックは、特に行政の担当者、農業者、研究者、農業と生物多様性の共生活動に資する皆さまに、優先的に配布を行なっております。
PDFファイルで配布いたしますので、ご希望の方は、下記の簡単な用途等の情報をメール本文に記載の上、でお申し込みください。
※ダウンロードしたファイルを開くためにはパスワードが必要です。
※添付ファイルですとウィルス対策上開けませんので、ご注意下さい。
お申し込みを頂いてから、局内で確認し、確認が取れましたら、PDFデータを開くことが出来るパスワードを発行させて頂きます。
必ず下記の仕様ルールについておよび個人情報の取り扱いについて、をご確認下さい。
なお、場合や用途によっては、お断りさせて頂くことがございます。あらかじめご了承ください。
▼メールの件名
WWFジャパン『水田・水路でつなぐ生物多様性ポイントブック』
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【ご注意】
写真、イラストなどの著作物のコピーや二次使用は禁止いたします。
もし、文章を引用される場合は、著作権法が定める引用の要件を満たしていただくようお願いします。また、引用の際には、出典として下記をご明記ください。
タイトル:『水田・水路でつなぐ生物多様性ポイントブック』
著者:鬼倉徳雄、中島淳、林博徳、西山穏
企画編集:公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
発行:2020年3月
※引用の範囲を越えるご利用(転載を含む)は、たいへん恐縮ながら、基本的にお断りをしております。
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制作にご協力いただいた皆さま
このポイントブックの作成にあたっては、さまざまな分野の専門家の皆さまに、多大なご協力をいただきました。(敬称略)
○鬼倉徳雄
九州大学大学院生物資源環境科学府附属水産実験所(動物・海洋生物資源学講座アクアフィールド科学研究室)
○中島淳
福岡県保健環境研究所
○林博徳
九州大学大学院工学研究院環境社会部門(流域システム工学研究室)
○西山穏
NNラントシャフト研究室
また、宇根豊さまからは「百姓としての見方」から貴重なご助言を、といのきデザイン事務所の佐々木光さまには、細部にまでこだわったイラストと、内容を分かり易くお伝えするデザインをお引き受けいただきました。
この場をお借りし、あらためてお礼を申し上げます。