朝日SDGs ACTION!ウェビナー「WWFと考える SDGsの実践セミナー」第3回を開催 企業が国際条約のルール作りに関与!プラスチック汚染対策の最前線

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2023年11月2日、WWFジャパンは朝日新聞SDGs ACTION!編集部とウェビナー「WWFと考える SDGsの実践セミナー」の第3回『企業が国際条約のルール作りに関与!プラスチック汚染対策の最前線』を開催しました。今回は、プラスチック廃棄物問題に取り組むソーシャルエンタープライズで、日本の企業連合に参加しているテラサイクルジャパンのエリック・カワバタ代表と、WWFジャパンのプラスチック政策マネージャー・三沢行弘が登壇。制定に向けた機運が高まりを見せているプラスチック国際条約のルール作りと、その中での企業の役割について解説しました。
目次

プラスチック国際条約のルール作りが進む中で

WWFジャパンと朝日新聞SDGs ACTION!編集部は、2021年に開始した連載企画「WWFと考える~SDGsの実践」の一環として、企業による環境への取り組みの最前線を語ってもらう連続ウェビナーを開催しています。

このウェビナーは、企業のSDGs担当者や、サステイナビリティー、気候変動などの関係者、関心層を対象としたもので、気候変動対策や森林保全など、さまざまなテーマにおいて企業にどのような取り組みが求められているのか、国際的な動向をふまえつつ、解説するものです。

2023年11月2日には、その第3回目として、現在制定に向けて国際交渉が進むプラスチック国際条約への企業のかかわり方について紹介。

プラスチック廃棄物問題に取り組むソーシャルエンタープライズのテラサイクルジャパン合同会社のエリック・カワバタ代表と、WWFジャパンのプラスチック政策マネージャー・三沢行弘が登壇し、国際条約をめぐる動きや、その中で企業が果たすべき役割についてお話ししました。

プラスチック規制のルール作りの中で、企業が果たすべき役割とは?

ウェビナーではまず、三沢から世界のプラスチック問題の概況を説明。その中で今、プラスチック汚染を根絶することを目指した国際プラスチック条約を制定するための動きがどのように進んでおり、どこに課題があるのかを説明しました。

特に三沢が強調したのは、国際プラスチック条約を、野心的で法的拘束力を持つ世界共通のルールを基盤として成立させる必要があるということ。そして、プラスチックのバリューチェーンを構成する主要企業が、この動きをただ見守るのではなく、野心的な国際ルール作りを自ら各国政府に働きかけているという世界の動向です。

そうした中で、WWFジャパンが事務局となって2023年11月1日に日本で発足した「国際プラスチック条約 企業連合」を紹介。これに参画する10社が、日本政府に対して発表した共同声明で、「世界規模での変容を促進するための、法的拘束力を持つ世界共通ルールと対策とを盛り込んだ、プラスチック汚染に関する国連条約を支持する」意思を表明したことを報告しました。

続いて、この日本の企業連合に代表として参画している、プラスチックのリサイクルおよびリユース事業を先駆的に手掛けてきた、テラサイクルジャパン合同会社のエリック・カワバタ代表が登壇。

同社の方針と取り組みを紹介しつつ、プラスチックをめぐる国際的な動向と、日本での今後のリサイクルおよびリユース拡大の可能性についてお話ししました。

その中で、プラスチック問題はリサイクルだけでは解決できないこと、国や企業が単独で取り組むのではなく、相互に連携し、まず優先的に使い捨てプラスチックの削減を実施することの重要性に言及。

製品の開発時からリサイクル・リユースを前提とした利用・流通を目指すなど、ビジネスレベルでのパラダイムシフト(発想の転換)が必要であることを指摘しました。

後半のディスカッションでは、三沢より条約の制定に向けた国連交渉の現状を説明。
真の問題解決のためにはただ条約を作るだけでは意味がなく、条約の中で、バージンプラスチックの総量を削減し、流出の可能性やその被害が大きなプラスチックについては禁止を含めた国際ルールを制定することが重要であり、11月にケニアのナイロビで開催されるINC-3(政府間交渉委員会の第3回会合)がその大きなステップになり得ると指摘しました。

カワバタ代表からは、こうした国際的な動きの中で、企業はどうプラスチック問題を捉え、対応していくべきなのかを解説。将来的なリスク管理の観点や、企業価値の高まりを踏まえた、積極的な姿勢と関心が重要であることを強調しました。


企業にとって、「国際プラスチック条約 企業連合」へ参加するということは、プラスチック汚染の根絶に向けて、大量生産を前提としないビジネスへの転換を社会に表明する機会となります。さらに、企業連合は、環境保全に積極的なビジネスを推進する企業の主張を政府に訴えるための「場」として、非常に重要な役割を担っていきます。

有力なステークホルダーである企業自らが野心的な国際ルール作りを政府に提言することで、そのような国際条約が発足する可能性が高まります。そして、野心的な世界共通ルールの下で、環境破壊型の事業を行う企業は市場から駆逐され、持続可能な事業を推進する企業が適正な利益を得ながら事業を永続させていくという「公正な競争環境」が保障される社会になっていくことでしょう。

今回のウェビナーは、企業に自らの変革を呼びかけるとともに、より踏み込んだ政策提言というアプローチも併せて取り入れるべきであるという、今後に向けた明確な方向性を示した1時間となりました。

本ウェビナーについては、朝日新聞SDGs ACTION!のウェブサイトに採録記事が掲載されています。

© WWFジャパン

(左から)WWFジャパン気候・プラスチック政策マネージャー 三沢行弘、テラサイクルジャパン合同会社 代表 エリック・カワバタ氏、朝日新聞SDGs ACTION! 副編集長 竹山栄太郎氏

イベント概要:WWFと考える SDGsの実践セミナー『企業が国際条約のルール作りに関与!プラスチック汚染対策の最前線』

開催日 2023年11月2日
会場 オンライン開催
参加者 約190名(当日)
登壇(敬称略) テラサイクルジャパン合同会社 代表 エリック・カワバタ
WWFジャパン プラスチック政策マネージャー 三沢行弘
朝日新聞SDGs ACTION! 副編集長 竹山栄太郎
主催:朝日新聞SDGs ACTION!編集部、WWFジャパン

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