マゼラン、フンボルト、ガラパゴス


この3つの言葉ですぐに「ペンギン」を思い浮かべる方は、相当なペンギン通!

南米大陸の太平洋沿岸に生息するペンギンといえば、この3種、マゼランペンギン、フンボルトペンギン、そしてガラパゴスペンギンです。

まず、一番南にいるのが、マゼランペンギン。マゼラン海峡とフエゴ島を越えた大西洋側でも見られ、いま私たちのプロジェクトが行なわれているチリ南部の沿岸にも、広く分布しています。

そのすぐ北にいるのがフンボルトペンギン。マゼランペンギンと同様に、南から大陸沿岸を北流するフンボルト海流がもたらす海の恵みを受けて生きています。

ガラパゴスペンギンはその名の通り、世界遺産の島ガラパゴス諸島にだけ生きる、赤道直下の熱帯で見られる世界で唯一のペンギンで、過去には、海水温が異常に高くなる「エルニーニョ現象」の影響で、食物の魚が獲れず、大きく数を減らしました。

いずれも同属に分類される近縁種で、姿もよく似ており、共通の祖先から分化したことがよくわかります。

が、実はもう1種、親戚がいます。
大西洋のむこうがわ、アフリカ大陸の南端に生息するケープペンギンです。

同じくフンボルトペンギン属に分類され、これまた姿もよく似ている... と、いうことは?

はるか昔、大西洋を渡ってアフリカにたどり着いた、このペンギンの祖先がいた、ということでしょうか!?

どのような分化の経緯をたどったのかはわかりませんが、この4種、よく似た特徴と生態を持ち、温帯から熱帯の温かい海で、寒流がもたらす海の恵みによって生きてきました。

人にとってもまた大切なこの海を、ペンギンたちとも共存しながら、未来に引きついでゆかねばと思います。

マゼランペンギン。チリから大西洋側のアルゼンチンにまで生息しています。

フンボルトペンギン。マゼランよりも北、ペルー沿岸にかけて分布しています。

やや模様が不明瞭で地味なガラパゴスペンギン(左)とアフリカ南部に分布するケープペンギン(右)。

*ご支援キャンペーンは終了いたしました。ご賛同いただき、ありがとうございました。

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

人と自然が調和して
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