V字型!? こんな角のサイがいた?


皆さんのサイのイメージは?日本事務所のスタッフに、
何も見ずに描いてもらった「脳内サイ」たち

サイという動物の一番の特徴といえば、顔の真ん中、鼻の上に1本、ないし縦に2本並んで生えた角。

少し動物に詳しい方ならば、世界にサイが5種いて、どのサイの角が1本か、また2本なのか、ご存知かと思います。

ですが、そんな方でも、2つの先端を持つ、V字型の大角を持つサイを見たら、驚かれるのではないでしょうか。

先日、そんな動物に遭遇しました。場所は東京・上野の国立科学博物館。

アルシノイテリウムの頭骨。角が巨大

遭遇といっても、実際に見たのは、2,000万年以上昔の地層から見つかった骨格の復元模型です。

四足を踏ん張った重厚な体格がサイによく似ていて、大きさもほぼ同じくらいですが、目をひいたのは何と言っても、鼻先の角。

左右2点に分かれたその先端は、鋭く前に突き出ており、根元に向けてきれいなV字を描いています。

これは恐竜が絶滅したあとの新生代に、北アフリカなどに出現した、アルシノイテリウムという動物で、実はサイとはまったく別の生物。

確かによく見てみると、歯や、蹄の形や数が、サイとは明らかに違います。

また、V字型の角も骨で出来ており、これも、皮膚の角質化した角を持つサイと違う点です。

ですが、今や姿を消してしまったこの太古の動物が、結果としてサイに似た体躯を持つに至った、生物の進化の歴史には、あらためて感慨深いものを覚えました。

これはスマトラサイです

今、WWFはボルネオ島の東カリマンタンで、世界に300頭以下しか生き残っていない、スマトラサイの保護活動をやっていますが、このサイも実は、4,000万年前と同じ姿をしているという「生きた化石」のような動物。

私たちが生きる現代というこの時代に、スマトラサイが化石となった動物たちの仲間に入ったりすることが、絶対にないように。頑張らねばと思います。(広報室:三間)

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

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