国の存亡を賭けて「自然エネルギー100%の未来」をめざす国々
2015/12/02
フランス・パリのCOP21会場より、温暖化担当の山岸です。
COP21は2日目を迎え、合意に向けた交渉が始まりました。
各国の交渉官は、合意文書について1行ずつ真剣に議論を交わし、草案を練り上げる作業が行なわれています。
夕方には、恒例の「化石賞」の授賞式も始まりました。
化石賞は、世界の950以上のNGOがつくるCAN(気候行動ネットワーク)インターナショナルが、その日の交渉に後ろ向きな言動を見せた国に与える不名誉な賞。
その授賞式はいつも、メディアと大勢の参加者に注目されますが、12月1日は、化石賞ではなく、交渉に光をもたらした国を表彰する「宝石賞」の受賞式となりました。
受賞したのは「気候脆弱フォーラム」。
海面上昇による水没の危機に瀕した島国や、台風やサイクロンなどの災害を受けやすい43の国が結成したグループです。
これらの国々では、温暖化に起因する災害で、毎年約3万人もの犠牲者が出ています。
今後、温暖化が深刻化すれば、被害はさらに拡大するでしょう。
つまり「フォーラム」にとって、気候変動をめぐる国際交渉は、国民の生死を分かち、国の存亡を賭けた闘いなのです。
フォーラムの参加国はかねてから、世界の共通目標である、「2度未満(産業革命前と比べ)」より、さらに低い「1.5度未満」に、平均気温の上昇を抑えるよう求めてきました。
2度目標の達成は、現実的でないとする声もあります。でも、彼らにとって「1.5度」以外の目標はありえません。
その実現のためには、2050年までに二酸化炭素の排出をゼロにする必要があります。
そこでフォーラムの参加国は自ら、「世界をリードし、2050年までに再生可能エネルギー100%を実現する」と宣言。それにより、宝石賞を受賞したのです。
温暖化の影響はすべての国に及びます。つまり、現在すでに深刻な影響を受けている国々を守ることは、すべての国々の安全を高めることにつながります。
パリ合意には、こうした脆弱国を守ることが求められています。