タンカー事故と渡り鳥と電気の話
2016/01/23
先日、東京湾で船舶が衝突し、タンカーが沈没するという事故がありました。幸い死傷者は無かったとのことでしたが、ドキリとさせられるニュースでした。
というのも、この種の船舶事故、特にタンカーの事故は、積んでいる油の流出を引き起こし、海の生態系に悪影響を及ぼすことが多々あるからです。
特に今は冬。
夏の間をシベリアなどで過ごしたカモやカモメなど渡り鳥たちが、東京湾にも数多く渡ってきます。
こうした水鳥は、身体に油が付くと羽毛の保温性が失われ、また油を飲み込むと内臓疾患を起こし、弱ったり死んでしまうことがあります。
世界ではいくつも例がありますが、大規模な流出事故では、何千、何万という水鳥や野生生物が犠牲になる例も珍しくありません。
報道によれば、今度の事故では、タンカーも大型ではなく、油の流出も洋上の限られた範囲にとどまったということですが、規模が小さければ被害が少ないとは限りません。
多摩川の河口のような、鳥が集まりやすい浅い水辺で事故が起きていたら、また違ったことになっていた可能性もあります。
ニュースでは自然への影響について言及しているものは、残念ながらありませんでしたが、こうした点についても、注意をしてゆきたいものです。
また、このような事故が起きると、日本での暮らしが、いかに多くの物資を海外に頼っているかも考えさせられます。
電気やガソリンなどの石油に頼ったエネルギーもそれは同じ。
今年の4月には、電力の自由化がスタートしますが、そうした機会を利用した選択も、渡り鳥をはじめ、さまざまな生きものたちに繋がっていることを、意識してゆかねばと思います。