故郷の山に生きる コーカサスヒョウ野生復帰プロジェクト


※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。

ヨーロッパとアジア、2つの大陸を隔てる大山脈のひとつ、コーカサス(カフカス)。

豊かな自然が広がるこの山々から、ヒョウの画像が届きました。

ただのヒョウではありません、過去に一度は絶滅したのではないかとさえいわれた、希少なヒョウの亜種コーカサスヒョウの写真です。

調査用の発信器を付けた首輪をしています。

実はこのヒョウ、生まれてからこの7月まで、ロシアのソチにある保護施設で飼育されていた個体でした。

コーカサスヒョウはあまりにも数が少なく、野生のままでは数の回復が難しいと判断されたため、捕獲した個体や動物園からもらい受けた個体を特別に飼育下で繁殖させ、その仔どもを自然界に戻す取り組みが行なわれてきたのです。

今回カメラが捉えたのは、そのプロジェクトで初めて、野生に放たれることになった、3頭の若いヒョウのうちの1頭。

それが2カ月後の今も、元気に生きていることを示すものでした。

また、これを撮影した調査用の無人自動カメラ(カメラトラップ)では、ヒョウの他にもカフカスツールやヒグマ、ヨーロッパバイソン(!)など、さまざまな動物が撮影されており、コーカサスの自然の豊かさが伝わってきます。

2005年にWWFロシアをはじめ、保護関係者や研究者たちが発議し、10年をかけて各国政府や国際機関の協力を取り付けて実現した、コーカサスヒョウの野生復帰プロジェクト。

それは、ただヒョウをただ野に放すだけでなく、その後の状況を調査し、生息環境の自然をしっかりと保全する、より多くの生きものたちのつながりを守る取り組みでもあります。

長年にわたる多くの人たちの努力と、それを支えた支援の輪が今、コーカサスの山に一つの成果を生み出そうとしています。(広報担当 三間)

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

人と自然が調和して
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WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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