いつか両親の生まれた山へ 3頭の仔ヒョウが誕生


※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。

オリンピックの開催地として知られるロシアのソチから、嬉しいニュースが届きました。

ソチ国立公園内にある保護センターで、3頭のコーカサスヒョウの仔が生まれた、というものです。

ヒョウはアフリカからアジアにかけて広く分布しており、今のところ絶滅の危機はさほど高くありません。

しかし、各地域の亜種(種をさらに分けた分類)をみると、数が非常に減少している例が見られます。

たとえば、私たちWWFジャパンもその保護を直接支援している、極東ロシアのアムールヒョウ。

また、スリランカに生息するセイロンヒョウや、ジャワ島にいるジャワヒョウなども同様です。

西アジアのコーカサス山脈に生息するコーカサスヒョウもそうした亜種の一つで、乱獲や開発により激減。1960年代には一度、絶滅したともいわれました。

その後、再発見されたものの、現在も推定個体数はわずかに数十頭。

野生のままで守るのが最上ではありますが、それだけでは保護が難しいと判断されました。

そこで、WWFでは、ロシア科学アカデミーと協力し、このヒョウを人工飼育し、野生に戻す長期計画を立案。その実施に乗り出しました。

関係各国も国境を越えてこの希少な野生動物の保護に協力。今回も、山中でそれぞれ捕獲され、トルクメニスタンとイランからロシアに移された個体が、3頭の仔の両親となりました。

コーカサスの山

プロジェクトが良い形で継続できれば、いつかこの仔ヒョウたちが、コーカサスの山に返される日がくるでしょう。

もちろんそのためには、山の自然を豊かなまま守ってゆくことも必要です。

コーカサスのシンボルでもあるこの仔ヒョウたち。元気に大きくなってくれることを、日本からも祈りたいと思います。(広報室 三間)

 

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

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