ユキヒョウがすむ地の観光支援
2023/12/21
みなさま、はじめまして。サポーターリレーショングループの鵜飼です。普段は、個人会員の皆さまのサポートを担当しています。
年末が近づいてきて、帰省など旅行の計画を立てている方も多いのではないでしょうか。
今日はそんな旅行と野生動物保護のかかわりについて紹介したいと思います。
私たちが今、西ヒマラヤのラダック地方で支援している、ユキヒョウの保護活動はまさにその一つ。
プロジェクト拠点の村ハンレには、自然保護の拠点となっている、たくさんのホームステイがあります。

ラダック最大の町レーのレンタルバイク店。ヒマラヤの絶景を楽しむツーリングが人気で、シーズン中はハンレにもライダーたちが多く訪れるそう。
地域住民が経営するこうしたホームステイやエコカフェを、WWFは支援しています。
訪れる観光客に、西ヒマラヤの自然や野生生物の大切さを伝えつつ、地域住民にも観光収入をもたらすためです。

ユキヒョウの生きるこの地の人々が、自然保護を理解し、活動に参加することは、野生動物と共存していく上で欠かせない要素。
保護活動を地域の収入にもつなげることができれば、共存をより促進することができるのです。

チャイをごちそうになったホームステイ先。お客を呼ぶため内装をおしゃれに整えたそうです。ご主人は、WWFが主催するホームステイ事業者向けの勉強会にも参加してくれています。
しかし、実際には悩みも尽きません。
特に嘆いておられたのは「お客が来ない」こと。
私も現地で実感したのですが、地元の人たちには、旅行会社への売り込みや看板を出すなどの「営業活動」の経験やノウハウが、思った以上にないのです。
また、こうした悩みは、カフェやホームステイを営む家庭によっても、それぞれ異なってきます。

さまざまな課題を解決するため、WWFのスタッフは各家庭を訪問。問題や困りごとを聞き出し、ノウハウを学べる勉強会を開いたり、マニュアルを整備・配布するなどのサポートを行なっています。マニュアルには掃除のチェックリストや収支管理の方法など細かく記載されています。
私が訪れたホームステイ先には、WWFの支援で看板が取り付けられることになりました。
地域の課題、野生動物の保護につながる手立てを明らかにしながら、ひとつずつ解決していく。
それは、気の遠くなるような作業です。
でも、それを積み重ね、大きな一歩を目指していかねばなりません。
ラダックで頑張るWWFの仲間たちを、そして地域の方々を、これからも日本から支えていきたいと思います。

WWFインドでは、この観光支援の他にも、地域との協力を通じた、さまざまなユキヒョウの保護活動を展開しています。零下30度の極寒となるこれからの冬も、その取り組みは行なわれます。