アフリカゾウ保全、更なる促進へ!レッドリスト更新
2021/03/26
現存する地上の野生動物では最大の種であるゾウ。
このゾウが今、何種いるか皆さまご存知でしょうか。
動物がお好きな方ならば、アジアゾウとアフリカゾウの名前がすぐに思い浮かぶかと思います。
その通り、ゾウは長い間、この2種とされてきました。
しかし最近は、これに1種を加え、3種とする分類が主流になりつつあります。
その1種が、「マルミミゾウ」と呼ばれる、アフリカ中西部のコンゴ盆地を中心とした熱帯林にすむゾウです。
もとはアフリカゾウの亜種とされていましたが、最近は別種とされるようになりました。
このマルミミゾウ、生息地が熱帯林の中ということもあり、その生態や個体数は、よくわかっていませんでした。
しかし、他のアフリカゾウと同じく、象牙を狙った密猟は、マルミミゾウを絶滅の危機に追いやる深刻な脅威となってきました。
サバンナに生息するアフリカゾウが、1960年代から90年代にかけて、密猟で激減したのに対し、マルミミゾウは2000年以降に、多くが密猟の犠牲となったのです。
またその背景には、生息国の政変や内戦、深刻化する熱帯林の破壊といった問題もあります。
こうした状況を受け、IUCN(国際自然保護連合)は、「レッドリスト」でこれまで2種に分類してきたゾウを、2021年3月25日発表のリストの最新版より初めて、正式に3種とする分類を採用。
マルミミゾウを第三の、絶滅の危機にあるゾウとして記載することにしました。
あくまで1種のアフリカゾウを2種に分けただけではありますが、種や生息地の単位で、野生生物の絶滅危機とその理由を細かく検証し、保全の手立てを考えることは、とても大事なことです。
また今回、サバンナに生息するアフリカゾウについても、絶滅の危機の度合いを示すカテゴリーが、これまでの「VU(危急種)」から「EN(絶滅危惧種)」へとランクが上がり、より深刻な状況にあるとの評価がされています。
絶滅の危機が上がっていることは非常に残念で憂慮すべきことですが、より適切な保全管理や国際協力を強化することに役立つことを期待したいと思います。